2027年度までに11円に FIT 自家消費モデル促進、自立化促す
2018.10.31 UP
経済産業省は9月12日、省内の総合資源エネルギー調査会の専門委員会で
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直し案を示した。
INDEX
1 FITからの自立化へ
2 来年11月以降買取満了
3 官民一体の周知徹底を
写真=太陽光発電システムのソーラーパネル
■FITからの自立化へ
住宅用太陽光発電の価格について、遅くとも2027年度までに1kWhあたり11円と卸電力市場並みに下げる方針を示した。システム費用は1kWあたり20万円をめざす。これまで「できるだけ早期」としていた時期を具体的に明示することで、蓄電池などを組み合わせた自家消費モデルの普及を促進し、FITからの自立化を促していく方針だ。
19年度の住宅用太陽光発電の売電価格は1kWhあたり24円。想定されるシステム費用は1kWあたり30万円で17年に新築に設置された案件の価格帯上位25%がこの水準。一方で、市場には既に同20万円台前半で取引されている事例も見られる。
■来年11月以降買取満了
FITは当初から10年間は買い取りが行われ、その後少なくとも10年間は自家消費及び売電が行われることを想定している。こうした状況の中で、09年11月に始まった余剰電力買取制度(当時)の適用を受けた住宅用太陽光発電設備を含めて19年11月以降、買取期間が満了する。
住宅用太陽光発電設備は今後、法律に基づく買取義務がなくなるため、電気自動車(EV)や蓄電池と組み合わせた自家消費や電力小売事業者等に自由契約で余剰電力を販売することになる。19年の11月と12月だけで全国の約53万件が買取期間終了の対象になり、2023年までに累計で約165万件、670万kWに達することが予想される。
図=FITを卒業する住宅用太陽光発電の推移
■官民一体の周知徹底を
最初の買取期間終了まで残り1年あまり。すでに具体的な買取メニューを発表して営業活動を展開する事業者や、買取メニューは公表していないものの、買い取りを実施することを表明している事業者もある。一方で、電力の小売り全面自由化とは異なり、どの世帯が、いつ買取期間終了を迎えるのかは第三者からは特定できないため、現状で買い取りを行っている事業者とそれ以外の事業者との間の競争上の公平性に関する懸念も挙げられた。
このほか委員会では、買取期間終了後の対応について、官民一体となった広報・周知の徹底を行うことが確認された。
(写真・記事)
㈱北海道住宅通信社