新型コロナ対策で、未完成でも完了検査が可能に
2020.03.07 UP
新型コロナウイルス感染、住宅業界への影響
新型コロナウイルスの感染拡大の影響が住宅業界で深刻化している。中国の生産ラインの停止によって、影響を受けた住設機器の納期遅延や出荷・受注停止の商品がさらに増えた。特にトイレやキッチンなど水まわりの品不足が顕著に現れている。
工務店経営者が最も恐れているのが「工期の遅れ」だ。引き渡しが遅れると資金繰りの悪化につながる。「倒産する会社もあるのでは」と危ぶむ声も上がっている。
こうした危機的な状況に対し、国土交通省が手を打った。2月27日に「完了検査の円滑な実施について」と題し、特定の行政庁や指定確認検査機関宛てに通知を出した。
トイレ等未設置でも住宅の引き渡しが可能に
住設機器の設置など軽微な変更に該当する場合は、完了検査を速やかに実施するとともに、計画変更がある場合はその手続及び完了検査を速やかに実施するとしている。
建築基準法の完了検査では、「住宅の建築工事の場合、一部の設備等がないことをもって、住宅として工事が完了していないといった扱いをすることのないよう、柔軟に対応すること」とした。これによりトイレやキッチン、ユニットバスなどが未設置の場合でも、施主への引き渡しが行えるようになる。
併せて住宅性能表示制度の竣工時検査も同様とし、登録住宅性能評価機関に対して速やかな実施を通知した。
追加工事の利用負担が問題に
これを受け、住宅金融支援機構は竣工現場検査に対して「一部の設備等が設置されていない住宅において適合証明書を交付する」こととした。その場合、「融資利用者の同意を要件としている」のは、完成前にフラット35のローン返済が始まるためだ。
トイレがない状態で施主が引き渡しに応じるかについて、ある建材メーカーの幹部は「中国で生産中止になったのは温水洗浄便座の一部パーツ。便器は国内生産なので先に簡易的な便器だけ取り付け、後で本来のトイレに取り替えるといった対応ができるのでは」と話す。その場合でも代替品や追加工事の費用をメーカー、工務店、施主のどちらが負担するのか問題が残る。
とはいえ完了検査の緩和により引き渡しの道が開かれたことで、胸をなでおろした住宅会社は少なくないだろう。
(資料・記事)(株)北海道住宅通信社