内装の壁紙にはさまざまな種類があります。リフォームや張替えの際には、いろいろとシミュレーションしながら考えられるため、完成への期待が高まるのではないでしょうか。
しかし壁紙ごとの特徴やポイントなどをある程度理解しておかなければ、理想の壁紙は選べません。そこで今回は、内装の壁紙の種類や色、費用などについても解説します。
内装の壁紙の種類
ここでは、内装に使う壁紙の主な種類を5つ紹介します。
ビニールクロス
ビニールクロスは、一般的に最も多く使用されている壁紙です。
比較的安価で購入でき、表面加工の種類が豊富です。ビニールを使用しているため耐久性は高く、掃除がしやすいのも特徴です。
ただし、経年とともにひび割れなどが起きて補修できなくなることがあり、揮発性有機物質(大気汚染や健康上の被害の原因です)を放散させるケースもあります。
<費用相場>
・量産品ビニールクロス:500円/㎡~
・中級品ビニールクロス:1,000円/㎡~
紙クロス
パルプで作られている洋紙でできたクロスです。
欧米で使われることが多く、輸入が中心ですが、和紙やケナフなどの非木材紙を使用している紙クロスもあります。
防音性に優れ、健康にも環境にも優しいクロスですが、紙でできているだけに水や油に弱いため水拭きや薬品を使っての掃除は困難です。
<費用相場>
・米国製輸入材:2,500円/㎡~
・自然素材の和紙:1,500円/㎡~
・撥水・防汚処理済み:2,000円/㎡~
織物(布)クロス
素材に樹木から採取したセルロースを再生した繊維や麻、絹や綿などを編み込んだ繊維や不織布に裏打ちをしたものなど、さまざまな種類があるクロスです。
吸湿性や通気性が高く、結露しにくい点はメリットですが、比較的価格が高く汚れやすい・ほつれやすい点はデメリットだと言えます。
<費用相場>
・レーヨン:1,200円/㎡~
・不織布:2,200円/㎡~
・絹100%:10,000円/㎡~
塗り壁
古くからある日本家屋において、多く採用されている壁材です。
シンプルながら独特の風合いがあり、どの壁も少しずつ仕上がりが異なるためオリジナルの壁紙が作れます。
塗るためには技術が必要な点や乾いて固くなるまでに時間がかかる点、近年では改良されてきているものの汚れが目立ちやすくひび割れができやすい点などはデメリットです。
<費用相場>
・漆喰調仕上げ:3,000円/㎡~
・漆喰仕上げ10,000円~20,000円/㎡
タイル壁
外壁にも使われるほど耐久性が高く、耐水性も強い壁材です。
種類が豊富で手入れもしやすく、少しの汚れは水拭きで落とせます。
ただし比較的費用がかかり、浴室などに使用するとカビが生えやすい点には注意しましょう。
<費用相場>
3,000円~50,000円/㎡
内装の壁紙は部屋のバランスと機能面で選ぶ
内装の壁紙は部屋のデザインや家具・建具とのバランスを見て選ぶことをおすすめします。
壁紙とインテリアのカラーバランスやレイアウトを考慮することで、それぞれのデザイン・カラーを最大限に活かせるでしょう。
また、機能や場所を考えて最適な壁紙を選ぶことも大切です。
例えば、幼いお子さんがいたりペットを飼っているご家庭なら、ひっかき傷や汚れなどに強い壁紙や、匂いを軽減してくれる機能性壁紙を選ぶと良いでしょう。
壁紙には調湿効果やカビ予防、抗アレルゲン機能や空気清浄機能などといった、さまざまな機能を持った種類があるため、活用してみてください。
さらに柄物の壁紙を選ぶ際には、視界がごちゃごちゃしてリラックスできない空間になってしまわないよう、部屋の大きさや柄の大きさに気を配ることが大切です。
実物はカタログで見るより明るく・淡く見える傾向があるため、サンプルは可能な限り実物を確認し、なるべく大きいサイズのサンプルで確認することも重要です。
色別|内装の壁紙の特徴
ここでは、内装の壁紙の特徴を色別に整理して解説します。
白系の壁紙
白系の壁紙はさまざまなインテリアと組み合わせやすく、部屋を爽やかで明るく、広々と見せてくれます。
ただし天井や床、壁を全て白くしてしまうと、緊張感を与えてリラックスできない空間になる恐れもあるため注意が必要です。
同じ白でもビビッドカラーではなく、アイボリーなどの優しい色合いを選択すると良いでしょう。
また白系の壁紙には、布地模様が特徴の織物調と塗り壁のような印象の石目調の大きく2種類があります。
織物調は主張し過ぎずどんな部屋にも合わせやすい一方で、石目調は模様が立体的で独特の存在感が魅力です。
お部屋の雰囲気に合わせ、適切な壁紙を選びましょう。
グレー系の壁紙
無彩色で中立的なカラーのグレーは、さまざまなインテリアと合わせやすい色です。
グレーを選ぶ際のポイントは明るさにこだわることです。
明るいグレーは部屋が明るい印象になり、真っ白な壁よりも上品に仕上げられます。一方で暗めのグレーは場合によって部屋全体に圧迫感が出てしまいますが、うまく取り入れることでシックな印象を与えられます。
例えば、明るめのグレーを部屋全体の壁紙に使用し、暗めのグレーはアクセントカラーとして壁の1面だけに使用するとメリハリが出せます。
青系の壁紙
青系の壁紙は落ち着いた雰囲気や涼しげな雰囲気を演出できるため、リビングにおいても人気が高いカラーです。
落ち着いた雰囲気を出すにはダークブルーやネイビーなどの濃紺色がおすすめですが、あまり割合が高すぎると寒々としたイメージになってしまいます。
これらの色を使用する場合は、壁の1面だけにアクセントカラーとして採用するか、白系の壁紙と組み合わせて使用するのがおすすめです。
明るめの青ならば多めに使用しても問題ないですが、その場合は、空間全体の色調を整えるためカーテンやソファーに青の補色である暖色を使うことは避け、なるべく無彩色(白・グレー・黒)でまとめましょう。
アクセントクロスをする場合
アクセントクロスとは、壁の1部・1面に異なる色や柄の壁紙を取り入れることです。
アクセントクロスを入れるだけで部屋の雰囲気が大きく変わり、ワンランク上のインテリアを手軽に楽しめます。
アクセントクロスに関しても、選ぶカラーによってさまざまな効果が期待できます。
ピンクのアクセントクロス
壁紙全体をピンクにしてしまうと、しつこくて落ち着かない空間になってしまいがちですが、アクセントクロスとしてベースカラーと合わせることでおしゃれな空間を演出できます。
その際にインテリアにもピンク系のアイテムを使用することで、部屋全体にまとまりが出せるでしょう。
例えば基本の壁紙をベージュにしてピンクのアクセントクロスやインテリアを採用すると、おしゃれで落ち着いた可愛らしい印象の部屋に仕上がります。
イエローのアクセントクロス
イエローをアクセントクロスとして取り入れると、元気ではつらつとした印象を与えられます。
イエローは木製(茶系)の家具と同系色のため合わせやすく、温かい雰囲気を演出できます。
キッチンスペースに取り入れられることが多いですが、リビングに取り入れる場合でも、淡いイエローであればなじみやすいでしょう。
ブルーのアクセントクロス
壁紙全体を鮮やかなブルーにしてしまうと、寒々として少し落ち着かない空間になってしまいがちですが、アクセントクロスであればおしゃれな空間を引き立たせてくれます。
ブルーと茶系色は合わせやすいため、天井や床が木目調であればまとまりやすいでしょう。
また、ティファニーブルーやブルーグレーなどの淡い色合いなら、子供部屋やトイレなどに使用するのもおすすめです。
内装の壁紙を張替える際の費用相場
張り替えるクロスのグレードにもよりますが壁紙のリフォーム費用は、800~1,500円/㎡程度が相場です。
またほとんどのケースで、廃材処分費として一式500~2,000円程度が追加で発生します。
さらにピアノなどを移動してもらう場合、家具1点につき2,000円以上の作業料金がかかることもあるため留意しておきましょう。
一軒家の費用相場例
一般的な一軒家の広さを70~85㎡とすると、すべての部屋の壁・天井のクロスを張替えるためには450~600㎡程度クロスが必要です。
この条件で1,000円/1㎡の量産品クロスを使用した場合、トータルの費用相場は45~60万円程度だと言えるでしょう。
マンションの費用相場例
一般的なマンションの広さを60~80㎡と考えた場合、すべての部屋の壁・天井のクロスを張替えるためには250~350㎡程度クロスが必要です。
この条件で1,000円/1㎡の量産品クロスを使用した場合、トータルの費用相場は60~85万円程度だと言えるでしょう。
費用相場を知るためにも相見積もりをする
壁紙の張り替えをする際に費用を安く抑えるには、相見積もりをとるようにしましょう。
相見積もりをとることで費用相場を把握できるようになり、より良い条件の業者を選択できます。
ただし、費用だけを比較して業者を決めてしまうと、場合によっては手抜き工事をされるリスクもあるため注意しましょう。
内装の壁紙張り替え工事について
内装の壁紙張り替え工事にかかる期間は最短で2日程度です。家具の移動が伴うなど、規模によっては1~2週間以上かかることもあります。
一般的な工事の流れは、以下の通りです。
1.業者に見積もり依頼をし、工事の日程を決める
2.家具などを移動する(必要に応じて養生を実施してもらう)
3.古い壁紙をはがす
4.下地に傷やへこみがあれば補修する
5.新しい壁紙にのり付けをし、壁に貼り付ける
6.業者から引き渡しを受け、最終確認をして完了
上記の期間・流れはあくまでも目安なので、実際には部屋の広さや下地の傷み具合などで違いが出てきます。
工事にかかる期間や費用だけを見て安易に業者を決めるのではなく、実際に問い合わせをして詳細を確認したうえで、丁寧に対応してくれる業者を選ぶことが大切です。
内装の壁紙をDIYする
ここでは、内装の壁紙をDIYするために必要な道具や手順を紹介します。
DIYに必要な道具
壁紙を張り替えるためには、主に以下の道具が必要です。
・糊が付いた壁紙
・ヘラ:壁紙の端を綺麗にそろえる
・カッター:壁紙の端を綺麗にそろえる
・なでバケ:壁紙の中に空気が入ってしまわないようにする
・ジョイントローラー:接合部を押し付けて目立たないようにする
・養生道具(マスキング・マスカー):周囲が汚れないようにする
DIYの手順
DIYの基本的な流れは、以下の通りです。
1.古い壁紙をはがす
2.壁のサイズに合わせて新しい壁紙を切る(上下10cmほど長くして切りしろにする)
3.壁を端から順に貼っていく(上下にそれぞれ5cmずつはみ出させる)
4.なでバケで空気を外に押し出す
5.上下の切りしろをへらで直角にしてカッターで切る
6.接合部をローラーで押しつける
DIYで壁紙を貼ることに失敗すると、再施工に費用がかかるため注意が必要です。
内装の壁紙を張替える際のポイント
ここでは、内装の壁紙を張り替える際のポイントを解説します。
一般的に、壁紙の張り替えサイクルは5〜10年と言われています。
全体的に交換するのがおすすめ
壁紙は一部のみではなく、全体を交換することがおすすめです。一部のみ新しくすると、交換しなかった古い壁紙の汚れや、色味などのバランスが悪くなり目立ってしまうためです。
壁紙の交換はまとめて行うと、結果的に料金が割安になり、家全体のカラーや質感も統一しやすいためおすすめです。
交換時には床→壁→天井の順で、上にいくほど明るくすることで天井が高く広く感じられます。逆に天井を一段暗めにすると落ち着きがでます。
また、天井のクロスは変えずに壁紙だけを交換する場合、白い壁紙を選ぶと天井がくすんでいるように感じてしまうため注意が必要です。壁のクロスのみを新しくしたい場合は、真っ白な壁紙を避けた方が無難でしょう。
家具や家電などの交換も検討
壁紙を交換する際には、家具や家電なども一緒に交換することを検討しましょう。
壁紙だけが新しく綺麗になってしまうと、壁まわりの窓枠の古さ・汚れ度合いが目立ったり、照明・家電との相性が悪く後から気になってしまうといったの問題が起きる可能性があるためです。
特にエアコンの着脱は工事費用がかかるため、壁紙の張り替えと同時に交換するとコストカットにつながります。
経験が豊富な業者に依頼する
業者に依頼する場合は、経験豊富な業者を選びましょう。壁紙リフォームにおける失敗には、以下のような理由が多くあげられるためです。
・業者による施工不良
・施工後の注意点に関する説明不足
・デザインについてのアドバイス不足
内装の壁紙を張替える際の注意点
ここでは、内装の壁紙を張り替える際の注意点を2つ紹介します。
想像以上に細かいホコリが出る
壁紙を張り替える際には、想像以上にホコリが出るため注意しましょう。作業中に発生するホコリが、パソコンに入りこみ動かなくなってしまうこともあるため、ホコリ対策は打っておく必要があります。精密機器や汚したくない大切なものがあれば、工事前にすべて部屋の外へ出しておくのが良いでしょう。
施工直後はすぐ触らない
壁紙張り替え直後は、すぐに触らないように気を付けましょう。浮いている部分などを見つけた場合、直したくて指で押してしまいたくなるものですが、こういった行為はシワの原因です。工事後に気になる部分があれば自分では触らず、業者に相談してみてください。
まとめ
内装の壁紙にはさまざまな種類・カラーがあるため、それぞれの特徴を理解したうえで、場所に応じた最適な壁紙を選ぶことが大切です。工事の依頼時には、一般的な費用や工期、流れをある程度理解しておき、気になる点があれば業者に相談するようにしましょう。内装の壁紙張替えをDIYで行うことも可能です。
内装の壁紙を変えて、おうち時間を楽しみませんか?
新しい生活様式において、今後もおうち時間が拡大します。おうち時間をより楽しんで過ごすために、思い切って壁紙も部屋ごとに変えてみるはいかがでしょうか?
家族やそれぞれの部屋のイメージに合わせて、空間を演出し、より住まいにも個性を求めると、おうちで過ごす楽しさが増すと思います。壁紙を変えるだけで「遊びたくなる・過ごしたくなる」すてきなおうちづくりにつながるのです。
そんな壁紙はビニールクロスが主流だとは思っていませんか?
内装の壁紙に活用できる、「シルクプラスター」という内装DIY用の商品はご存じでしょうか?
シルクプラスターとは「壁紙でもない・塗り壁でもない」、クロスと塗り壁の良いところをあわせた新しいデザインのLiquid Wallpaper(液体壁紙)です。
ヨーロッパ生まれのシルクプラスターは環境に配慮された商品であり、VOC(揮発性有機化合物)フリーではヨーロッパで最高ランクを獲得しています。
他にも特徴として
・帯電防⽌(ホコリがつきにくい)性能があって低刺激性のため、ヨーローッパでは幼稚園や保育園施設などに多く使われている
・繊維素材のため塗り壁や壁紙に⽐べて断熱性・遮⾳性があり、落書きやぶつかって削れてしまった場合での補修は塗り壁や壁紙に⽐べて簡単
といった点があげられます。
プロの職人さんに施工してもらうことも可能ですが、内装DIY用の商品なので、DIYがはじめての場合でもバケツと専用プラスチックコテがあれば簡単にできます。