室内の壁色は、中で過ごす際の気分を変える効果があります。たとえば、暖色系はエネルギッシュで明るい雰囲気になりますが、なかでもオレンジ色は、柔らかく穏やかな気持ちや創造力を掻き立てます。また、自然を思わせるグリーン系の色は、リフレッシュやリラックスできるため、寝室やリビングにぴったりです。白やアイボリーといった淡い色で、部屋を広く見せることも可能です。
最近では、壁紙の一部を違う色や柄に替える「アクセントクロス」が人気です。一部分のみのため、部屋を手軽にランクアップできます。また、オンオフの切り替えがしやすい空間作りも可能なため、テレワークなどで自宅を仕事場にする人にも効果的です。
今回は、アクセントクロスを取り入れる方法の1つとしてDIYに着目し、クロスの選び方や施行手順、セルフで実施する際の注意点やプロに依頼すべき条件について解説します。
アクセントクロスで失敗しないために最低限知っておくべき4つのこと
アクセントクロス貼りはDIYでできる?
DIYで壁紙を張り替えることは可能かつ特別なスキルは必要ありませんが、満足いく完成度を目指すのであれば、壁紙を選ぶ際の注意点や、作業で守るべきポイントを把握した上で実践する方が安全です。
また、失敗した場合に備え、リカバリ可能かどうかも押さえておきましょう。
たとえば、ニトリの「貼ってはがせるシール壁紙」は、既存の壁紙に上から貼るタイプで、初心者でも採用しやすいクロスです。
初めての場合は、キッチンの壁面など目がつきにくい箇所で試すのもおすすめです。
DIYでアクセントクロスを貼るメリット・デメリット
DIYで壁紙を変える際のメリットやデメリットについて整理すると、以下のようになります。
【メリット】
■費用を節約できる
比較的安価なものが多く販売されており、外注で発生するコストを削減できます
■自分のペースで進められる
施行のタイミングやペースなどを自由に決められ、業者と調整する手間がかかりません
■理想やこだわりを体現できる
頭の中にあるイメージやこだわりをそのまま形にでき、自分らしいアレンジを楽しめます
■作り上げる達成感が得られる
DIYの醍醐味である「自分で作り上げる達成感」を味わえ、愛着が沸きます
■他者の立ち入りや接触が不要
自宅へ業者を招く必要がなく、人の出入りや接触無しで完結できます
【デメリット】
■壁紙の種類次第では費用がかさむ
壁紙の材質によっては、プロに依頼する場合と同様の費用がかかる可能性があります。
■道具を購入する費用がかかる
綺麗に貼るための各種道具や、天井や作業しづらい壁の場合は、脚立など足場が必要です。
■作業に人手と時間が必要
広い面は特に、共同で作業する人が必要です。面積が大きい分、拘束時間も長くなります。
■失敗のリスクが高い
不慣れなうちは、壁紙が寄れたり曲がったりする失敗が起きやすいでしょう。
■人によりクオリティが異なる
信頼あるプロの手で施工する場合と比べ、素人は人により仕上がりの差があります。
DIYでアクセントクロスを貼るなら手軽なシールタイプがおすすめ
DIYの場合、アクセントクロスを自身で購入しますが、大きく分けて2つのタイプがあるので、クロス選びの参考にしましょう。
▸シールタイプ
一つ目は、貼ってはがせるシールタイプです。失敗してもはがしてやり直せ、賃貸の家でも使える利点があります。また、既存の壁紙が破れていても、補修して上から綺麗に貼れます。シールタイプは一度に広い範囲をカバーできるため、対象箇所が広ければ広いほど、ペイントタイプよりも効率的です。また、施工中に周囲を汚す心配もありません。
▸ペイントタイプ
二つ目は、既存の壁紙の上からペンキを塗る、ペイントタイプです。ペンキは、壁表面の凹凸がそのまま残るため、既存の壁紙が破れや剥がれの無い状態にする必要がありますが、壁の立体的なデザインを活かしたまま色を変えることも可能です。
好きなペンキを選び、色やつや感、模様を施すなど、オリジナリティを出せる反面、綺麗に仕上げるためにはある程度の経験とスキルが必要です。
まずは手軽に、効率的にイメージチェンジをしたい場合は、シールタイプから始めると安心です。色や質感にこだわりがあったり、壁紙の状態が良ければ、ペイントタイプに挑戦するのも良いでしょう。
DIYでアクセントクロスを貼るための道具・手順
シールタイプのアクセントクロスを貼る場合、何が必要なのか、何から始めればいいのか迷わないように、必要なツールと作業手順を紹介します。
■用意するもの
アクセントクロスを貼る作業や、事前の補修などで用いる道具がいくつかあります。買い足すものが多い場合は、クロスと専用道具がセットになったDIY用の商品もあるので安心です。
・補修のり
・サンドペーパー
・スケール(メジャー)
・壁紙(シールタイプ)
・スキージー、撫でハケ、ローラー
・カッター
・脚立(天井など高所の作業がある場合)
■手順
1.壁紙の状態を事前にチェックする
クロスを綺麗に貼るためには、ベースとなるもとの壁紙の状態が大切です。破れや汚れがあれば、修復しておきましょう。めくれている箇所は壁紙用の補修のりを使い接着し、汚れは乾拭きで落とします。また、表面のザラつきなどはサンドペーパーで研磨すると、仕上がりが綺麗になります。
2.貼る面積を採寸する
スケール(メジャー)を使い、施行する壁面のサイズを測ります。床から天井までの高さと、横幅の長さを測ります。
3.壁紙を購入する
壁紙を選ぶ際は、計測した面積よりも大きめの壁紙にし、壁材とクロスの相性も忘れずにチェックします。商品によっては、貼れない壁質もあるため注意しましょう。
4.壁紙を貼る
採寸サイズよりも10cmほど余裕をもって壁紙をカットし、壁に貼っていきます。天井側から床方向に向かって貼っていきますが、中に空気が入らないように注意が必要です。撫でハケやスキージーで空気を追い出すように密着させていくと、ムラなく仕上がります。また、余った部分は後からカットするため、スキージーで筋をつけておくと効率的です。
そのほか、地ベラや竹べらがあると、隅や角など、手が届きにくい部分もクロスを入れ込みやすくなります。
5.仕上げ
端にはみ出た不要な部分を、スキージーでつけた跡に沿ってカッターなどで切り落とします。また、全体をまんべんなく密着させるため、スキージーやローラーを縦、横に滑らせ、壁とクロスをならせば完成です。
アクセントクロスのDIYを成功させるポイント
アクセントクロスのDIYを成功させるための5つのポイントについて解説します。
柄物は避ける
クロスは無地のものと柄のあるものから選べますが、何枚かを継いで貼ることを考えると無地の方が無難です。柄がある場合、継ぎ目をうまく合わせられるかどうかがポイントになります。面積が狭い場合や、継ぎ目も柄が揃えやすいものであれば採用しやすいでしょう。
「剥がせるタイプ」「塗るタイプ」の壁紙を選ぶ
シールタイプとペイントタイプのメリット、デメリットを紹介しましたが、壁の材質と理想のアクセントクロスのイメージを描き、条件に合うものを選ぶと失敗が少ないでしょう。また、第3の壁紙としてヤマチコーポレーションの「シルクプラスター」もおすすめです。塗るタイプと似ていますが、塗った後も水を吹きかけるだけで剥がせるためビジナーでも安心して利用できます。また、ふんわり優しい雰囲気の壁紙から、キラキラと高貴な雰囲気の壁紙まで豊富なラインナップがあります。
2人以上で作業する
壁面の面積が広い場合は、端から端まで1人では手が届かないため、2人以上で施工しましょう。狭い面積でも、作業する人の手元に照明を当てたり、周囲にケガのものになるような道具が置いていないかなどサポートできます。
また、作業する人は至近距離で細かい仕上がりをチェックできますが、全体を俯瞰して、位置が正しいかや曲がっていないかを把握しづらいため、離れた場所から見る人がいると安心です。
小さな場所からトライする
リビングの壁一面をアクセントクロスにするなど、広い面積に取り入れるとインパクトがありますが、初心者であればキッチンのカウンター部分やトイレなど、手始めに小さい面積から挑戦すると施工時間が短縮でき、苦になりません。また、一通りの作業を経験することで、力の入れ具合や細かい処理などコツが掴め、2回目以降の広い面積に活かせます。
実際の施工前にワークショップで練習する
DIYを始める人が増えていることもあり、ワークショップを開催している販売店やホームセンターがあるため、利用すると良いでしょう。実践の中でコツを学べ、必要な道具があれば、その場で購入できます。要領を掴んだ状態で施工に臨め、作業が効率的に進められます。
プロに依頼するのがおすすめなケース
アクセントクロスに完璧な仕上がりを求めていたり、目立つ部分や広範囲の部分に対して張り替えたりする場合は、プロに依頼するのが最適です。施工技術が高いだけでなく、部屋のバランスや壁材に合っているかなど、さまざまな視点からアドバイスをしてくれるでしょう。ただし、業者指定以外のクロスを持ち込むことは、NGの場合が多い傾向です。
業者に依頼する場合は、材料費だけでなく人件費や諸経費もかかってきます。施工費は、1㎡あたり400円から600円が相場になります。材料費と施工費以外の、ごみの処分費や交通経費などが諸経費にあたります。部屋の荷物が多かったり、貼る面にコンセントやその他のものを取り付けていたりすると別途費用が発生することもあるため、見積もりの際は確かめましょう。
まとめ
部屋に個性を持たせたり、印象を変える手法としてアクセントクロスは有効です。カラーがもたらす効果や施工のポイントを理解し、思い通りの壁に仕上げられれば達成感が高まります。DIYの事例が紹介されているページや経験者の体験談などを参考にしながら、一つ一つの工程を丁寧に進めましょう。
DIYに着手する時間が無い人や、完璧さを求める場合は、プロに依頼すると確実です。