わたしたちが日本の街に貢献できるコト。
※サスティナブルWEBマガジン「雨は友達」は、雨の大切さを建材資材を通じてお伝えするコンテンツです。日本の庭に従事されている方を通じ、サスティナブルな観点で綴るシリーズです。
文|エノコロ庭園設計室 舩村 佳織
本当に大切な、今必要な個人宅の庭づくりとは?
庭の植物を見ていても、土が水に浸透していくことの大切さを実感します。舗装に囲まれた樹木は、成長と共に生育が悪くなることがあります。樹木は根から水や養分・酸素を得て生育しています。良い土を作るのに重要な土壌生物や菌は水が無ければ育ちません。また、新鮮な空気は水が動くことで土中に引き込まれていきます。そのため土は水が浸透しないと、植物の生育に向かない土になってしまうのです。周囲が舗装に囲まれた樹木が生育不良に陥った場合、舗装に穴をあけ、通気や通水を改良し生育改善を図ることもあります。庭という小さな空間でも、健全な生態系を保つには土へ水が浸透することが必要不可欠ということがわかります。
日本において、環境に配慮された設計はランドスケープでは取り組みがされていると感じますが、個人の外構ではほとんど考えられていないのが現状だと思います。メンテナンスの省力化のため全てコンクリートにしたいというご要望も耳にします。ですが、それが本当に暮らしやすさに繋がるのでしょうか?住宅の周りが全てコンクリートだと、夏は室温にも影響するほど熱くなり、夜間も熱を帯びたままです。一軒だけならばそこだけの問題ですが、街中の庭が全てそのようになれば、影響は大きいでしょう。逆に街中の庭で透水性に配慮し、樹木を育てたらどうでしょうか。街全体が豊かになっていきます。夏の気温にも影響を与えるはずです。
「庭」は街へのギフトという考え
庭は個人の敷地内につくる個人的なものなので、各々の考えで庭を使って当然ですが、建築内部よりもよりパブリックなスペースとなります。周囲の微気象や生態系に対しても影響を与えるものです。庭は施主のものでありながら、街へのギフトでもあります。ランドスケープならば、より一層影響力は大きいでしょう。この分野が社会へ与える影響は、もっと大きく、もっと重要になっていくはずです。
残念ながら気候変動は避けられない状況になっています。私達は都市の作り方を変えて、これからの気候に対応していかなくてはなりません。その中で従来の雨水管による排出だけではない、雨水の浸透処理というのは重要なポイントになります。コスタリカのホテルでは、コンクリートやアスファルトを取り入れたくない、としてグラベルフィックスを採用したとのことでした。これからのランドスケープや外構の設計には、グラベルフィックスのような環境に配慮された商品が必要になっていきます。
BERA社が製造する砂利舗装材グラベルフィックスは性能とともに施工性・意匠面でも優れた商品で、様々なシーンで取り入れやすい資材です。耐荷重にも優れ、駐車場にも安心して採用できます。また、砂利の安定性が高いため、歩行スペースにも適しており、車いすやベビーカーも問題無く移動できます。このような優れた資材が設計者の一助となるはずです。どのような資材を選ぶかという選択眼もより一層問われるでしょう。社会を変えるというと大げさですが、雨水一滴から変えられることがあると信じています。
サスティナブルWEBマガジン「雨は友達」Vol.1
千葉大学園芸学部卒業。東京・兵庫の造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行う。ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。2021年よりエノコロ庭園設計室。
|樹木医(第2759号)・一級造園施工管理技士|
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2023年より、MYKEWEBで「環境と庭」をテーマに情報発信していただいています。
2児の子育て中でもあり、家族と共に育つ庭、家族に寄り添う庭を提案されている、サスティナブルガーデナーです。