美容室の店舗をオープンするにあたり、内装へのこだわりは非常に重要です。
それは単に「美容室はおしゃれな場所だから」というだけではなく、内装は経営に関わるほどの重要な役割を担っているのです。
そのためこの記事では、美容室における内装の重要性や内装の決め方、費用を抑えるコツなどを解説します。
美容室は内装で決まる
美容室は内装で決まる、と言っても過言ではありません。
実際に、お客様が来店後の仕上がりをイメージする際に内装は美容室選びの重要な決定要素となっているのです。
どういうことかと言うと、スタッフの技術力や接客態度などはホームページなどで判断することは難しく、実際の来店時に確認していることが多いと言えます。また、ホームページや予約サイトで「〇〇発祥のスタイル」「〇〇に人気のカラー」などと書かれていても、実際に自分のスタイルに合うかどうかは体験しなければ分からないです。
そのため、実はホームページなどで見られる店舗の内装こそが、お客様が初めての美容室へ来店を決める大きな決定要素になるのです。
例えば洗練されたおしゃれなインテリアで統一された店内であれば「大人っぽく落ち着いたスタイルにしてくれるだろう」と想像して、来店を決めてもらえるかもしれません。
美容室の運営において、内装へのこだわりは必須のポイントであると言えるでしょう。
おしゃれな内装の美容室に共通している点
ここでは、おしゃれな内装の美容室に共通しているポイントを6つに整理して解説します。
コンセプトがはっきりしている
おしゃれな内装の美容室は、コンセプトが明確です。
コンセプトが不明確なまま、ただはやっている要素や良さそうな要素を思い付きで取り入れても、誰の心にも響かない中途半端な内装になってしまいます。
そのためターゲットとするお客様像を具体的に思い浮かべ、内装のテーマを決めることが大切です。
顧客データなどからターゲットをしっかりと分析したうえで、ターゲットに響く内装作りを進めましょう。
空間全体に統一感がある
空間全体に統一感があることも、おしゃれな美容室の条件です。
1つ1つのアイテムにこだわりを持っていても、それぞれが異なる特徴を持っていたら個別の主張が激しく、雑多な空間になってしまいます。
例えば椅子だけが奇抜でも、どこかおしゃれだと感じられる空間は、全体のデザインから計画的にあえて引き算しているからです。
テーマを軸に統一感のある内装を心がけましょう。
整理整頓されている
おしゃれな空間作りに整理整頓は基本です。
整理整頓されている美容室は、自然と居心地の良さを感じるものです。
例えば小物が乱雑に置いてあると、せっかく内装がおしゃれでも、お客様は小物に目が行き、落ち着いて過ごせません。
収納用のワゴンなどを活用し、整理整頓を徹底しましょう。
非日常感を出している
非日常感がある美容室は、おしゃれな印象を受けやすいと言えます。
おしゃれな演出には「新しい刺激」や「感性に訴えかける要素」が必要で、お客様が日常的に目に触れている物を置いても「おしゃれだ」と感じてもらうことは困難です。
加えて美容室は、お客様自身がおしゃれになるために訪れる非日常の場所だと言えます。そのため、できるだけ「非日常の空間」を演出し、「ここならおしゃれになれる」という期待や高揚感を、お客様に抱いてもらいましょう。
映えポイントがある
お客様の目を引くおしゃれな美容室には、統一感の中にも「映え」ポイントが取り入れられています。
SNSで「映え」が浸透している現代では、意図的に写真を撮りたくなるような楽しい仕掛けを作った方が、お客様に足を運んでもらいやすくなるでしょう。
例えばフォトスペースを作ってスタイリングした姿を写真に残せるようにすると、スタイリングが映えるだけでなく、美容師の技術やセンスも際立ち分一石二鳥です。
映えポイントなどで「おしゃれなお店だったな……!」とお客様の記憶に印象付けられると、再来店や口コミ効果も期待できるでしょう。
流行を意識している
統一感やコンセプトが大切だと説明しましたが、それに加え、やはり美容室は常に流行を意識することも大切です。
流行はスタイリングに限らず、内装も同様です。
内装の流行を抑えた美容室には、スタイリングにも自然と期待が持てます。
内装の流行は、SNSや雑誌などである程度知れますが、内装業者に相談してみるのも良い方法でしょう。
美容室の内装の決め方
ここでは、美容室の内装の決め方について解説します。
内装は美容室のコンセプトを最も表現するため、まずは美容室全体のコンセプトを明確にすることから始めましょう。
ターゲットを明確にする
コンセプトを考えるうえでは、最初にターゲットの明確化が重要です。
以下のような内容をできるだけ詳細に設定し、具体的な人物像をイメージできるようにしましょう。
・年齢
・性別
・仕事
・婚姻の有無
・所得
・行動特性(趣味や嗜好など) etc
例として以下のように具体化していきます。
・20代後半の独身女性
・会社員で事務職、年収は300~400万円程度
・美意識が高く普段からスキンケアなどには気を使っている
・近年になって髪やお肌の曲がり角を少しずつ実感しており、
具体的な解決策はま だ見つかっていない
デザインの方向性を決める
ターゲットを決めたうえで、次に内装デザインの方向性を決めます。
美容室としてのブランドイメージやターゲットとの相性などをイメージしながら、作りたい内装デザインのイメージを絞っていきます。
この段階では、他の美容室の内装デザインを参考にしても良いでしょう。
美容室の内装デザイン例
美容室のターゲットを明確にし、内装デザインの方向性を決めていく際に、さまざまな内装デザイン例を把握しておくとよりスムーズに決めやすくなるでしょう。
ここからは、美容室の内装デザイン例を紹介します。
テーマを決めることで、それに沿った内装作りが可能となり、近隣店舗との差別化にもつながります。
ナチュラルな内装
柔らかで素朴な雰囲気の美容室作りには、ナチュラルな内装がおすすめです。
暖色を多く取り入れ、ブラウンや緑の要素を合わせると空間に統一感が出せるでしょう。
また、小物も内装の雰囲気に合わせて選び、色味の強いアイテムはアクセント程度に留めておくと統一感を損なわず締まりが出せるでしょう。
アンティークな内装
白を基調としたシャビーな空間にすれば、非日常感や独特の雰囲気を持つ美容室を演出できます。
洋風か和風か、全体をアンティーク調にするのか一部に留めるのか、それぞれで内装イメージは大きく異なり、お客様に与える印象も違ってくるでしょう。
シンプルな内装
洗練された「大人っぽさ」や「モダンな雰囲気」をもつ美容室にしたいのであれば、シンプルな内装がおすすめです。
白や黒を基調としたシンプルで無駄のない内装は幅広い年齢層に受け入れられやすいと言えます。
ただシンプルなだけだと、寂しい印象を与えかねませんので、素材や形などポイントでこだわりを見せることが大切です。
美容室の内装を左右するアイテム
ここでは、美容室の内装を左右するアイテムを紹介します。
セット面
コストと機能性を考慮すると、既製品がおすすめです。
空間の広さと動線を意識して扱いやすいものを選択しましょう。
セット椅子
店舗の内装テーマに合わせ、特に背もたれや座面などのクッション性といった座り心地にこだわって選びましょう。
また、お客様は来店中のほとんどを座って過ごすため、耐久性や安全ロック、昇降のスムーズさなどといった点にも重点をおいて選ぶことをおすすめします。
シャンプー台
予算や店舗の広さによって、選ぶシャンプー台は異なってきます。
想定するサービス内容と価格帯を考慮し、最適なシャンプー台を選びましょう。
例えば、ヘッドスパを行いたいのであればフルフラットシートがおすすめですが、比較的高価で場所をとってしまうといった点にも留意しましょう。
シャンプー棚
シャンプー棚は内装会社で作ることも多くありますが、コストを抑えるのであれば既製品がおすすめです。
内装とのマッチ具合も大切にしつつ、使いやすいサイズかどうかを重視して選びましょう。
小物類
ワゴンや観葉植物、照明などは内装デザインに合わせて選択しましょう。
コンセプトと照らし合わせ、統一感を意識して選ぶことが大切です。
また小物の選定は、デザイン会社へ一任もできます。
壁素材
壁は店舗内で大きな面積を占める分、色味と素材は空間の印象に影響を及ぼす大切な要素です。
サンプルは紙面上ではなく、なるべく実物で確認し、大きい面で見た場合と小さな面で見た場合で印象が異なる点にも注意して選びましょう。
また、水回りの壁は防水性を意識することが大切です。
床
床は視界の大部分を占めるため、色味と素材の選択が内装全体の雰囲気を左右します。
コンセプトとの統一性はもちろん、髪の毛の掃きやすさやメンテナンスのしやすさ、防水性なども重視すべきでしょう。
天井
天井を高くすると空間を広く見せられるため、天井材を貼らずに配管などをそのまま見せる、スケルトンを採用する美容室が多くあります。
天井は照明器具や観葉植物、化粧梁などで個性を出しやすい部分であり、内装のセンスが光る部分です。
美容室の内装のポイント
ここでは、美容室の内装のポイントを解説します。
美容室に適した素材を使う
美容室には切った髪の毛を掃く、薬剤を使う、水を扱うなど美容室特有の特徴があります。
そのため床は凹凸が少なく、汚れが落ちやすい素材を使うべきでしょう。
またシャンプー台付近の床や壁は、防水仕様が必須だと言えます。
素材のメリット・デメリットは事前にしっかりチェックし、見た目だけでなく機能性も高い素材を選択しましょう。
動線を考えた設計にする
動線を意識した設計にすることで、お客様・スタッフともにストレスの少ない空間にできます。
待合スペースからセット面につくまでやシャンプー台への移動など、美容室はお客様の移動が比較的多く、動線もある程度決まっています。
スタッフの動きも考慮し、スムーズな案内ができる美容室を目指しましょう。
内装ばかりが主張しすぎない
美容室の目的はお客様をおしゃれに・美しく・きれいにすることです。
内装ばかりが主張しすぎると、お客様が空間に埋もれてしまい、せっかくのスタイリングが空間負けしてしまう可能性があります。
お客様とのバランスを考慮した内装デザインが求められるでしょう。
美容室の内装工事にかかる費用相場と考え方
費用相場は、基本的に「坪単価 × 広さ」である程度予測できます。
坪単価は20~40万円が相場であり、こだわって内装を作るのならば坪単価40~60万円で考えておいた方が後々のトラブルは減るでしょう。
あくまでも基本的な相場なので、実際には以下のようにさまざまな要素で価格は変化します。
広さ・坪により変わる費用
ある程度デザインや設備を整えて、25坪程の美容室を作ろうとした場合、単純計算で1000万〜1500万円の費用が必要です。
ただしこの金額には、シャンプー台やセット椅子、ボイラー、ワゴン、セット台などの備品は含まれません。
また、14坪までの店舗では、坪単価が割高になります。
同じ1人の職人を手配する場合、面積が広い方が坪単価は必然的に安くなります。
例えば、10坪と15坪の工事で職人を1人3万円で手配した場合を比較すると、坪単価は以下の通りです。
・10坪……30,000(円)÷10(坪)=3,000円/坪
・15坪……30,000(円)÷15(坪)=2,000円/坪
物件の種類により変わる費用
居抜き・新築・改築それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
施工費があがる外的要因
内装コストは、外的要因によっても変化します。
居抜き・新築・改築全ての物件に共通して、例えば集合住宅内や大型商業施設の中では工事可能な時間帯が決められていることが多いです。そのため工事が長引いた分や、夜間工事により工賃があがったりすることがあります。
また、機材を搬入しづらい立地だと、その分搬入費があがります。
工事内容により変わる費用
内装工事にかかる費用は目に見えるデザインの部分だけではなく、さまざまな工事内容によって変わります。
設備容量
設備容量の工事では、設備容量(ガス・水道・電気)が美容室を作る必要量を満たしているかを確認します。
この容量が足りないと、初期コスト・ランニングコストのどちらかで余分な費用が発生してしまいます。
土台
建物自体が汚い・使いづらい場合、目に見える部分を仕上げる前にまず土台を補修する必要があり、その分の費用が余分にかかります。
内装の工事予算の3分の1以上は、こういった設備費用や土台作りの費用です。可能な限り抑えられるよう、初期段階から業者と連携し、物件を見せておいた方が無難でしょう。
目に見えるデザイン部分
床や壁、天井に使用される材料の種類やグレードによって、費用は当然変わります。
例えば、新しく壁をたてて塗装するよりも、躯体に直接塗装する方が費用を抑えられます。
ただし素材にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、内装業者と十分に打ち合わせて決めていきましょう。
外装
内装だけでなく、外装が好ましくない場合は、管理会社に確認して外装工事も追加で実施しなくてはなりません。程度によって外装工事費が追加されます。
美容室の内装費用を少しでも安く抑える方法
ここでは、美容室の内装費用を少しでも抑える方法を5つ紹介します。
一括して工事できる業者を選ぶ
内装業者は、デザインから施工まで一括して依頼できる業者を選びましょう。
もしデザイン設計のみの業者なら、デザインを発注した後、改めて施工業者へ工事を依頼するプロセスが必要になり、必然的に工期が長くなります。
しかし設計デザインから施工まで一貫して受けられる業者なら、設計から施工まで自社で完了できるので、工期を短縮しやすいのです。
中にはデザイン料も込みで全て引き受けてくれる業者もあり、コストの大幅減につながるでしょう。
複数業者に見積もりを依頼
複数の業者に依頼することで費用相場が分かるようになり、適正価格での依頼がしやすくなります。
物件契約前に業者を連れて内見する
物件に問題がなく施工しやすいほど、無駄な費用がかからなくなります。「問題がない」とは、具体的には「床が水平で壁が垂直である」「アスベストなどの有害物質がない」といった状態を示します。もし問題がある場合は、追加工事が必要となるため、余計な費用負担が増えてしまいます。物件契約時には、契約前に業者を連れて内見すると、事前に問題点の有無を確認できます。
素材や家具をしっかり選定する
素材選びはメリット・デメリットを整理し、しっかり打ち合わせしながら無駄を省きましょう。初期費用だけでなく、メンテナンスや交換などのランニングコストとのバランスも考慮することが大切です。家具はオーダー品が増えるほど費用がかさむため、既製品をうまく取り入れましょう。また、スタイリングチェアやエアーウェーブなどは、中古でも新品同様で流通しているケースがあるため、うまく活用するのがポイントです。
工事期間になるべく余裕をもつ
工事期間が短いと工賃が割高になる可能性があるため、工事期間になるべく余裕をもつようにすることが望ましいです。また、余裕の無いスケジュールではどうしても焦りが出てしまい、しっかりと考えながら決めていく場合と比べると、完成度に差が出てしまうのは明白です。
美容室の内装を自分で|DIY
美容室の内装において、DIYで進められるのは主に以下の部分です。
・セット面
・レジカウンターなどのインテリア
・壁
セット面は既製品を自分で取り付けるだけであり、また簡単なインテリアであれば自分で作ることが可能です。壁も自分で塗装するとよりコンセプトに近づけられ、内装へのこだわりを反映できます。天井や床は、テナントの状況によって状態や材質が大きく異なるため、DIYで進めず業者に頼むのが無難です。
まとめ
美容室において内装は経営に関わる1つの重要な要素であるため、お客様のターゲット設定やコンセプト作りに本格的に取り組むことが大切です。内装のアイテムやデザインを決める際には、それぞれのポイントを抑えるだけでなく、全体の統一感も意識する必要があります。また、壁などの内装の一部はDIYできるため、理想とする美容室を妥協せずに作り上げられます。
美容院の内装は壁紙で差をつけませんか?
お店のホームページやSNSなどで「内装にこだわっています」と、お客様にアピールすることは、インテリアにこだわりのある美意識の高いお客様層にアプローチでき、集客効果も期待できます。内装は美容室にとって単なる装飾ではなく、経営戦略の一環になり得るのです。内装は重要な営業ツールの1つと考えると、美容室のコンセプトに沿ったサービス精神あふれる取り組みをしているところに共感が集まります。
美容室の大部分を占める壁は、美容室の印象を大きく左右するに加え、お客様が頻繁に目にする部分でもあります。壁紙で個性を出し、よりおしゃれな内装につくりあげることが、美容室の内装のこだわりにもつながってきます。
そんな壁紙に、「壁紙でもない、塗り壁でもない」、クロスと塗り壁の良いところをあわせた新しいデザインのLiquid Wallpaper(液体壁紙)をおすすめします。
美容室の壁紙に施工できる、「シルクプラスター」という内装DIY用の商品はご存じでしょうか?
ヨーロッパで生まれた2種類の商品は、他にはないこだわりの素材感と豊富なカラーバリエーションで、おしゃれな美容室をつくりあげます。
・アートデザイン:毛糸をほぐしたようなふわふわ感のある商品
・ヴェルサイユ:キラキラ・ラメ仕様で照明が映える商品
他にも、シルクプラスターは塗り替えが容易なので、定期的に壁紙の色を変えて、流行に合わせた内装計画をすることも可能です。
プロの職人さんに施工してもらうことも可能ですが、内装DIY用の商品なので、DIYがはじめての場合でもバケツと専用プラスチックコテがあれば簡単にできます。
壁紙にこだわることで、ワンランク上のおしゃれな美容室になること間違いありません。
施工事例: