塗り壁はもともと和風家屋に使用される塗装方法ですが、近年はデザイン性が高まり、和風に限らず洋風の塗り壁も人気を呼んでいます。
塗り壁が選ばれる理由はいくつかありますが、中でも左官職人による「手作業でできるオリジナルの模様」でしょう。豊富なパターンやカラーがあり、塗り方次第で印象も変わります。
一方で職人の技術次第で外壁の出来が左右されるなど、デメリットの点もあります。
本記事では、外壁リフォームで塗り壁にする際のメリットとデメリット、種類、費用、メンテナンス方法について解説します。
外壁を塗り壁にするメリットとデメリット
外壁を塗り壁にしようか検討されている方に知っていただきたいメリットとデメリットを解説します。
外壁を塗り壁にするメリットとは?
塗り壁のメリットは以下があげられます。
独特の質感が得られる
塗り壁は、土のほかにも、ガラスや石などを混ぜたり、タイルやレンガを組み合わせるなど多様なバリエーションがあります。
塗装やサイディングボード(金属や窯業系のパネルを外壁に貼り付ける施工方法)では得られない独特の質感を得られます。
世界に1つしかない外壁が作れる
塗り壁は職人がすべて手作業で模様付けを行います。世界に二つとない外壁デザインは家への愛着がますます高まることでしょう。
継ぎ目がなく見栄えが良い
塗り壁は外壁面をすべて外壁材で塗り固めます。そのためタイルやサイディングのようにパーツの組み合わせではないため、継ぎ目がなくシンプルでスッキリとした印象です。
耐火性・防火性に優れている
土や砂を主成分とした塗り壁は、無機質不燃材からなり、防火性に優れています。そのため塗り壁の素材である土や漆喰は燃えにくく、安全性が高いのです。例えば一度塗ると100年以上はもつ壁材と言われてます。また、漆喰は建築基準法での最高基準である「不燃材料」であり防火性が高いのです。
外壁を塗り壁にするデメリットとは?
塗り壁のデメリットは以下があげられます。
価格が高い
塗り壁は特殊な工法のため一般的な外壁塗装に比べると費用が高い傾向にあります。また、担当する職人が経験豊富で確かな腕前を持つ人ほど高額です。
汚れやすくこまめなメンテナンスが必要
塗り壁の表面はその材質のため、ザラザラとしており表面に砂汚れや雨などの汚れが付きやすいのです。水で流すなど掃除が必要ですが、高圧洗浄機を使うと壁を傷めてしまう恐れがあります。さらに雨漏りにより、構造材に水分や湿気が付着し腐食してしまいがちです。
割れやすい
塗り壁は、塗料のような液体ではなく、固形のため、弾力性が少なくひび割れが起こりやすくなります。地盤が弱い土地や近くをトラックが通る道があったり、電車が通ったりする条件がある場合は注意が必要です。
職人の技術力で仕上がりや耐久性が決まる
適切な工事をできない業者に依頼してしまうと、仕上がりが悪く耐久性が低下してしまうことが最大のデメリットです。
依頼の前に見極めが重要です。
外壁に使う塗り壁材の種類
塗り壁といっても、さまざまな素材があり、それぞれ特性が異なります。予算や今後住む年数などを考慮して選ぶ必要があります。
ここでは外壁に使う塗り壁の材料について解説します。
ジョリパット
デザイン性が高く、カラーが豊富でパターン塗りも吹付塗装もできるのです。例えばボーダーや、スプレー、ローラーなどがあります。職人によってもセンスが変わってくるのでオリジナリティがあって、世界に一つだけのデザインになります。また、耐用年数が15年から20年とされているので、耐久性にも優れています。さらには、紫外線にも強いので防音性が高いのです。しかし、デメリットとして汚れやすい点が挙げられます。また、デザイン性を選べることから高い価格になることもあるので注意が必要です。。
土塗り
土塗りは名前の通り土を材料とした塗り壁材です。
表面はザラザラとしているものと平らなものがあります。
配合する土や砂の種類によって、見た目や質感を自在に操れるため、和風から洋風まで幅広いデザインの外壁を作れます。
また、素材が土のため耐火性に優れており、環境にも優しい素材と言えます。
デメリットは、表面が崩れやすく、汚れが落ちにくいといった点があげられます。
漆喰
漆喰は昔ながらの住宅に使用されてきました。石灰石に粘土などを混ぜ合わせた材料で、白く仕上がるのが特徴です。
漆喰のメリットは、耐久性、不燃性、防音性、殺菌性が高く、美しい仕上がりになることです。また、個性が出てくる箇所でもありますので、自分の気に入ったものを選べることが長所でもあります。
デメリットは、白いため汚れが目立ちやすいこと、また工賃が高く、工期がかかることがあげられます。
耐久年数は特に目立った汚れや破損がなければ平均10〜30年です。
珪藻土(けいそうど)
昨今、バスマットやコースターとしても人気の珪藻土は、藻類の一種にあたる珪藻の殻が堆積した土です。単体では固まらないため、固めるための副資材を混ぜて壁材にします。
珪藻土のメリットとして、漆喰よりも湿気を吸う力が大きく、寝室やリビングなどの内装にも向いています。
デメリットは、触れると珪藻土がぽろぽろと落ちてしまうこと、カビが生えやすいことがあげられます。
これらのデメリットを解消するために、漆喰などの別の素材を混ぜることで、耐久性やカビを抑える独自の配合をしているメーカーもあります。
モルタル
モルタルは、セメント・砂・水などを混ぜ合わせて作る外壁素材です。
メリットは価格が安い点があげられます。外壁リフォームではよく利用されています。
デメリットは、見た目は塗料による模様付けが中心のため、他の塗り壁に比べると独自性に欠けます。また、ひび割れが起こりやすく、メンテナンスは8〜10年毎のため、他の素材と比べると耐久性が低いでしょう。
外壁を塗り壁にする際の費用相場とは?
外壁を塗り壁にリフォームする費用の相場については、残念ながら明確なものはありません。なぜかというと、どの塗り壁材を使用するか、坪数や外壁面積、そしてどういった仕上げパターンを採用するかにより異なるからです。
さらに加えて、業者により工賃や諸経費も異なってきます。
複数の業者に見積もりを依頼して、価格を比較する必要があります。
外壁の工事費用は、塗料や工賃の他に、足場設置、解体、シーリング(ボードの継ぎ目や隙間処理)、養生(破損防止の手当)、洗浄などがかかります。
それぞれの工程にかかる費用の目安は、以下の通りです。
・足場・養生:20〜30万円程度
・下地調整:5〜15万円程度
・塗り壁・塗装:およそ70万円〜
・その他:10〜30万円程度
有名な比較サイト「価格.com」では、モルタルからサイディングへリフォームした際、230万円ほどの費用がかかった例が掲載されています。
また、他の例では、延床面積30~45坪(壁面積約100~150㎡)の二階建て住宅をモルタルからサイディングへリフォームする場合、180~300万円ほどの見積もりだったとのことです。
外壁に塗り壁を用いた際のメンテナンス方法
塗り壁のメンテナンスで、漆喰、珪藻土、ジョリパットは水洗いに適しません。
汚れが付いてしまった場合は、水をかけて洗い流すのではなく、サンドペーパーでこすったり、水を絞った雑巾などで拭き取るのがよいでしょう。
サンドペーパーでこする際は表面の質感が変わってしまうため、小さな範囲からこすってみて、様子を見ながら進めていくことをおすすめします。
塗り壁の補修については、ちょっとしたひび割れなどであれば、ホームセンターで販売しているスプレーや補修材を目立たない程度に塗るとよいでしょう。
自分で補修するのが不安な方や、自分では補修が難しい大きな傷や汚れの場合は、プロに相談することをおすすめします。
費用はかかりますが、自分で補修をしてしまうと、その部分だけが悪目立ちしてしまうこともあるので、判断に迷ったら業者へ問い合わせてみてください。
大きな傷を放っておくと、雨水が浸入して家が腐食したり、将来的には台風や地震により倒壊してしまうかもしれません。
定期的にチェックをして、必要であればメンテナンスや補修を行いましょう。
外壁への塗り壁のおしゃれな仕上げパターン
外壁は自宅の第一印象でもあり、人に見られる部分です。
せっかくならすてきに仕上げたいですよね。
ここでは塗り壁の主な9つの仕上げパターンを紹介します。
家に合うデザインを決めていきましょう!
コテ波
コテ波とは、塗り壁材をコテで塗り、うっすらとコテの跡を付ける仕上げパターンです。コテの跡の残し方は職人の技術力や個性が出るため、オリジナリティを感じられる壁に仕上がります。
ハケ引き
ハケ引きは、市販品のブラシを使用してラインを引く仕上げパターンです。ブラシの種類によりパターンが変化します。和室などの塗り壁にも人気があり、和を感じる上品な壁になるでしょう。
コテバケ
コテバケは、はけと違い先端が平面で幅広く、内部はスポンジなので、かすれることで塗料を均一に塗れるメリットがあります。
ハケよりも大きな範囲でラインを引けることから、ラインを用いたパターンの仕上げが可能です。
扇
扇は漆喰の外壁などに施される際、選ばれることが多いです。扇形(半円)を重ねて描いていくパターンで、バランスよくきれいに描くには職人の技術力が必要です。和風テイストな空間に仕上げたい方は、扇仕上げがおすすめです。
スポンジローラー
スポンジローラーはホームセンターで部材が集められるため、DIYでも人気があります。ただ、一見簡単そうに見えますが、下地を綺麗に処理しておかなければ見た目が悪くなってしまうこともあります。職人に任せれば問題ないでしょう。
スパニッシュ
スパニッシュ仕上げとは、コテの角を利用して模様をつける洋風のパターンです。洋風の住宅の外壁に施せば、おしゃれな雰囲気に仕上がります。
スタッコ
スタッコ仕上げは、吹き付け塗装と手で仕上げていく塗装があります。
職人のセンスが光る仕上げです。洋風な外壁に向いており、ヨーロピアンテイストで垢抜けた印象となるでしょう。
ゴムローラー
ゴムローラー仕上げは、ローラー部分の形状によってさまざまなパターンで仕上げられます。しかし、塗り壁材を均一に塗るには職人の技術力が必要です。
マーブル
マーブルは2色の塗り壁材を併わせて塗るパターンです。配色パターンと技術力、センスが問われる仕上げ方法でもあり、職人と相談をしながらオリジナルのマーブルデザインを作れるでしょう。
まとめ
安心して依頼できる業者を探すための、業者選びのポイントは以下です。
・複数の業者で見積もりをとって比較する。
・業者のホームページを確認し、会社概要や確かな施工実績があるか確認する。
・契約を急かしてきたり、相場の金額よりも大きく離れている場合は見送る。
・確かな技術があり評判の高い左官職人がいる会社を選ぶ。
大きな費用をかけて行う外壁塗装は、業者選びが大切です。
誰だって「失敗したくない!」と思いますよね。
また、外壁工事をする業者には、大手リフォーム会社、ハウスメーカー、フランチャイズ企業、自社完結の施工会社があります。
自社完結の施工会社以外は、実際に外壁工事するのは下請け企業であるため、その分マージンが発生して出費がかさんでしまうでしょう。
大手メーカーに依頼するメリットとしては、ブランド力に安心感があることや、下請け業者を多数抱えていることから、希望の日程に対応してくれる確率が高いことなどが挙げられます。
どのような業者に依頼するかについては「絶対にここがいい!」とったことはなく、どこも一長一短といえるため、複数の業者と直接話をして決めましょう。
外壁には塗り壁システム「レナガス」がおすすめ
外壁は模様や色味ひとつで家の見た目の印象が変わります。外壁に塗り壁を用いることで和風にも洋風にも、さまざまなイメージをつくりあげられます。
「オメガ」は商業施設から住宅まで多彩に採用されている、「塗り壁」と「外断熱材」とを同時に実現する塗り壁システムです。
日本でもすでに10,000棟を超える実績を持っており、下地材から仕上げ材まで5段階の素材を、システム通りに施工していくことで美観・耐久性ともに強い建物を完成させるのが特徴です。
なかでも「レナガス」が注目されている理由は、構造・使いやすさと、豊富なカラーバリエーションです。
構造・使いやすさ
あらゆる建築物の変化に対応。速乾性でコストも削減。
弾性の高い素材と、建物全体をカバーするファイバーグラスメッシュを採用。
建物の動きに追従する柔軟性や、揺れや変形に対する追従性で、壁のクラックを防ぎます。
また、建物の外壁に貼るサイディング下地仕様タイプで、あらゆる建築物に対応します。
豊富なカラーバリエーション
(カラーの一部を抜粋)
約60色の豊富なカラーバリエーションと4種類の仕上げ材のパターンにより、色・仕上げの種類を約250種類のバリエーションから選べます。
仕上材はアクリル樹脂が主材のため、高い耐久性を誇ります。
顔料は色あせにも強く、新築時の色合いを長年にわたって保ちます。
塗り壁は職人の手作業なので、ひとつひとつ仕上がりが異なります。世界にひとつだけの、おしゃれで安心・安全な外壁にしませんか?