一般住宅や公共施設など、敷地内の庭を手入れする際に頭を悩ませる要因の一つが雑草です。草むしりや草刈り機で一旦除去しても、日が経つと元通り茂り、といういたちごっこが続くため、庭の管理が体力的にも精神的にも負担になります。
今回は、絶えず生えてくる雑草への代表的な対策や、砂利の特性を活かした解決方法とメリット、具体的な手順を紹介します。
除草剤だけでは雑草対策にならない?
雑草対策として、除草剤を使用する方法がよく知られています。除草剤はドラッグストアやネットストア、100均などで入手できる点や、手間をかけずに広範囲をカバーできる点など、手軽さが大きなメリットです。
一方で、除草剤は対象の植物を見分けられないため、一気に散布すると、雑草以外の生かしたい樹木や花も一緒に枯らしてしまう危険性があります。
また、雑草が長く伸びてしまっている状況では、効き目が弱くなります。この場合は、草刈り機である程度カットしたあと、短くなった雑草を除草剤で処理する2段階のステップが必要です。
さらに、草を枯らす成分は人間の健康上良くありません。除草剤の使用には、肌を隠す服装や、吸い込まないように口元を覆うなど、適切な装備が必要です。
雑草が生えてくる原因
当たり前のように生えてくる雑草ですが、何もないところから芽を出すわけではありません。種が付着するルートや、成長の要因について解説します。
種が運び込まれてくる
雑草の基となる種子は、一般的な植物の種子と同様に、風や雨水、鳥や虫などの生物により運ばれてきます。また、人間の衣類や靴にも付着するため、気付かずに自ら持ち帰っている可能性も否めません。
さらに、草むしりも土中に潜っていた雑草の種を掘り起こしてしまい、日光を浴びてそのまま生息するパターンなど、さまざまなルートで種子が移動し、発芽に至ります。
さらに、雑草は繁殖力が高く、一株の雑草から約5万の種子が撒かれることもあり、およそ8割が発芽すると言われています。
日光による成長
雑草の多くは、日光に照らされることで発芽し、成長します。森林や畑以外にも、自宅の周りや道路、公園や学校、市街地など、至る所で雑草を目にするのは、雑草が日光の当たる場所であればどこでも生きられるためです。
根や茎の生命力
雑草の根が強いことにあります。雑草は根っこがあるだけで何度でも再生して生えてくるため、雑草自体を引っこ抜いても地下に根が残っていればまた繁殖し始めます。
雑草は「一年生雑草」と「多年生雑草」の二種類に分類され、前者は生育後に新たな種子を生成して枯れますが、落した種子から繁殖します。よって、種子を作る前に除去しなければ、繁殖を抑えられません。後者は、地下部の根が生き残っていると、そのまま翌年再生されます。また、種類によっては地中に茎を張り巡らせ、繁殖範囲を拡大させるものもあり厄介です。
雑草対策で用いられる代表的な手段
しつこい雑草に対し、除草剤以外の手段で対策が可能です。たとえば、コンクリートを敷いたり、木材を被せウッドデッキにすることで地面への日光を遮り、発芽や成長を防げます。
これらの対策は、敷地を有効活用しやすくなったり、好みの外観を踏襲できたりと、雑草対策以外のメリットがある一方で、リフォームにより高い費用が発生します。また、土に比べコンクリートは太陽光の照り返しがあり、夏場は熱さが厳しくなる傾向です。
砂利で雑草対策するメリット
雑草対策の手段として、砂利を敷く方法があります。砂利の利用で得られるメリットを7つ紹介します。
メリット1:砂利が日光を遮断
砂利を万遍なく敷くことで、地面に届いていた日光を遮断し、発芽や繁殖を防ぎます。砂利を厚めに敷けば、より効果を発揮しやすくなるでしょう。3~5cmを目安とし、均一に敷くことで光が入りにくくなります。
メリット2:比較的手間がかからない
砂利を敷く作業自体は特別なスキルを必要とせず、誰でも手軽に実践できます。また、耐用年数が20年以上のものもあるなど長いため、一度敷けば頻繁なメンテナンスは必要ありません。
メリット3:比較的費用が安い
砂利の種類にもよりますが、数万円を超えるなど高額ではないため、挑戦しやすい方法と言えます。メンテナンス頻度が低いため、ランニングコストもかかりません。
メリット4:おしゃれな景観
砂利は色や形、サイズにバリエーションがあるため、景観のイメージアップも図れます。
明るい白色が特徴の白玉砂利は清涼感や上品さを演出でき、那智黒石は黒系でシックな印象を与え、五色砂利はさまざまな色合いの石が混ざった砂利のため、色のバランスを楽しめるでしょう。
これら3種類は玉砂利と呼ばれ、丸みのある形をしていますが、角ばった砕石砂利もあります。選ぶ石により、和風にも洋風にも仕上げられ、雑草対策以外の目的でも活用されています。
メリット5:ヒートアイランド防止
近年、都市部ではヒートアイランド現象が問題になっていますが、砂利を敷くことで太陽の熱を乱反射させ、地上からの熱を感じにくくなります。また、アスファルトに比べ、打ち水による効果も高く、涼を取りやすいと言えます。
メリット6:ぬかるみ防止
粘土質の土は水を吸収しやすく水捌けが悪いため、地面がむき出しの場合、雨が降ることで水たまりができたり、ぬかるみやすくなったりします。砂利は水が溜まりにくく、雨が降っても快適に歩行可能です。
メリット7:防犯対策にも
砂利の上を歩くと、石が擦れて音が鳴るため、防犯対策に効果的です。砂利の中でも「防犯砂利」は踏むと比較的大きな音が鳴り、音の大きさが「db(デシベル)」で示されているため、参考にして選べます。
砂利を敷くデメリットも把握しておこう
砂利を敷くことで発生するデメリットについても知っておくと安心です。
デメリット1:掃除がしづらい
砂利の間はすき間があるため、落ち葉やほこりなどゴミが入り込むことがあります。特に、庭木や街路樹が近くにある場合、落葉の季節になると大量の葉が砂利を覆うでしょう。落ち葉が多く落ちる場所には不向きと言えます。
対策としては、サイズの大きい砂利を選ぶと落ち葉が入りこみにくくなるほか、電気ブロワーなどで詰まった落ち葉を飛ばす方法があります。
デメリット2:ヒールやベビーカー・自転車にはちょっとした危険も
人間の動線に砂利を敷いた場合、多少の歩きづらさが生じます。また、ヒールなど尖った履物や、自転車、ベビーカーといった車輪の小さい乗り物は、バランスを崩しやすく転倒する可能性があります。特に水に濡れた砂利は滑りやすく危険です。
砂利の上を通る時は、安全性の高い靴を履いて歩くようにするなど、留意しましょう。乗り物での通行は避けるか、持ち上げて通過する方が無難です。
デメリット3:子供が転ぶ
大人と違い、子どもは砂利の上でも走ったり遊んだりすることが想定されます。さらに、幼児など小さい子供はバランス感覚が発達途中のため、コンクリートや地面に比べ凹凸のある砂利は転ぶリスクが高まります。
砂利の上では激しい動きをしないように声がけをしたり、入ることを禁止するなどルールを決め、安全性を維持しましょう。
雑草対策で用いる砂利の種類
雑草対策の面では、砂利の種類による効果の差はさほどありません。
すき間なく配置することと厚みを持たせることがポイントです。
つまり、何を敷くか、よりどう敷くかが重要になります。
砂利敷きの手順については後述しますので記事を読み進めてください。
景観面を考慮して砂利を選ぶのも良いでしょう。
樹木の近くに砂利を敷く場合は、木を傷つけないように丸みのある砂利を選びます。また、大きめの砂利をアクセントとして置くのも、遊び心がありおすすめです。
砂利の素材により、質感や色、形に個性があります。一面に敷くことで、印象を大きく変えるため、家や建物、周囲の景色に合った素材を選ぶと馴染みやすいでしょう。
さらに、瓦チップやウッドチップなどは、地面に敷き詰めることで砂利と同様の遮光効果があるだけでなく、軽量のため子どもが上を歩いたり遊んだりしても安心です。その反面、風で飛ばされたり、自然由来のものは土に還ってしまうなどの懸念点がありますが。
重要:砂利を敷いただけでは隙間から雑草が生えてくることも?
冒頭でも触れた通り、雑草の生命力は高いため、砂利の隙間から生えてくる可能性もあります。
単に砂利を敷くだけでは完璧な雑草対策とは言えません。
雑草対策には、砂利の下に防草シートや麻袋を敷くことが効果的と言われています。防草シートを敷く際はシートとシートを10cm以上重ね、すき間を作らないよう工夫することがポイントです。
雑草対策における砂利敷きの手順
では、実際に砂利敷きをする手順と、必要な道具を紹介します。
ステップ1:草刈り
砂利を敷く前に、生えている雑草は全て除去します。地下に根や茎が残っている状態のまま作業を進めると、すき間から芽が出る可能性があります。
雑草の除去に除草剤を使う場合は、作業の1~2週間前に撒き、草が完全に枯れてから砂利敷きの作業をしましょう。
雑草以外にも、ごみや石があれば取り除きます。
ステップ2:土の高さを合わせる
地面に凹凸があると、砂利を敷いた際にズレやすき間が生じやすくなったり、雨が降った際に水が溜まる原因となったりするため、平らに整地します。
H3ステップ3:高さが決まったら転圧
土の高さが均一になったら、砂利が沈みにくい環境へ整えます。地面を足でしっかり踏み固めて、土中に空気が残らないようにしましょう。建物から外側に向かって、下るように傾斜をつけると、雨水が外へ流れやすくなります。
敷地が広範囲の場合は、ホームセンターなどでレンタルできる転圧機を使うと効率的です。
ステップ4:防草シート
防草シートはロール状のものが多く、一度に広げず転がすようにして少しずつ敷きます。シートの間から雑草が発生しないように、重ねながら敷いていきます。
風邪などでめくれあがることがないように、適度な距離でピンを止めるのも忘れないようにしましょう。
ステップ5:砂利敷き
防層シートの上に、厚さ3~5cm程度で砂利を敷き詰めていきます。フラットに仕上げるためには、トンボやレーキを使うのがおすすめです。ステップ2で転圧しきれず高低差が残っていれば、なだらかになるように敷きます。
なお、砂利は使いきらず余らせておくと、後々補充する際も、砂利の種類がわからなくならずに済みます。
雑草対策における砂利敷きの費用
最後に、砂利敷きに必要な合計費用や内訳について解説します。
自分で行う場合
砂利敷きを自身で済ませる場合、砂利、防草シート、粘着シート、固定するピン、メジャー、金槌、シャベル、裁ちばさみが必要不可欠で、広い範囲の場合は、トンボやレーキを追加で購入すると作業が効率化されます。
砂利の量は、面積や砂利の種類により異なりますが、たとえば30㎡に白い玉砂利を敷くと仮定すると、約150袋必要で料金は100,000円弱になります。もっと安価な素材を使えば、数万円程度に抑えることが可能です。
また、砂利そのものよりも、運搬にかかる料金が上回ることがあります。ネット通販や、店舗で購入して自宅への配送を依頼する場合は、金額を漏れずチェックしましょう。自分がドライバーとなり運搬すると、送料はかからずガソリン代のみで済むため、大幅な費用の節約につながります。
砂利敷きをDIYする際の手順は、まず面積の計測から始めます。事前に面積を把握しておけば、砂利や防草シートの量を求められます。その後は、上記で紹介したステップ1から順に進めていきます。
業者に依頼する場合
業者に依頼すると、砂利敷き前の雑草除去や整地、転圧作業も含めた金額が費用に含まれ、1㎡あたり3,000円~4,000円が相場となり、30㎡の場合は約9万~12万円程度になります。複数業者で相見積もりをし、工事内容と金額を比較すると安心です。
まとめ
砂利は雑草の繁殖防止効果や景観など、バランスの取れた素材です。足の踏み入れない場所であれば、転倒や歩きづらさを感じることもなく、デメリットは感じにくいでしょう。
住宅のアプローチや歩行道路、公園など、通行箇所や人が集まる場所に最適な砂利材と舗装材として、「グラベルフィックス」があります。わだちやくぼみができにくい性質のため、トラックやバイクなど重量のある乗り物が通行しても砂利の偏りを防ぎ、子どもやお年寄りが安全に歩行できます。また、裏面についた不織布で、雑草の抑制効果を高めます。一般住宅から役所や学校、ホテルなど幅広く導入されており、信頼の高い製品です。お見積りなどお気軽にお問合せください。