自宅の外観は、住む人や見る人の印象を大きく左右します。しかし、長く住んでいると、天候などの環境変化により、色落ちや汚れなど、徐々に劣化してしまいます。定期的なメンテナンスで必要な補修をすれば、長く愛着を持って住めるようになるでしょう。
実際に、自宅のメンテナンスにおいて、外壁塗装を重視する人は多い傾向ですが、修繕の中でも外壁塗装は費用が想定しづらく、腰が重いという声もあります。
理由として、外壁の状態や塗料の種類、職人の熟練度や工事項目などさまざまな要素から費用が決まるため、最適なプランを決めづらいことが挙げられます。安さのみで修繕内容を選択すると、耐用年数や品質で満足感が得られない可能性があるため、トータルコストで捉えることが大切です。
本記事では、外壁塗装の費用相場や、費用対効果で見るべきポイント、業者選定の基準について解説します。
外壁塗装にかかる費用の目安は?
外壁塗装にかかる費用は、広さや塗装の品質により異なりますが、数十万から100万円台が目安です。
たとえば、3人~4人で住む一般住宅の広さは30坪~35坪程度ですが、外壁塗装の費用相場は80~120万円程度になります。コストを抑えて綺麗に塗装する場合は80万円前後、100万円を超えると塗装の耐性強化や持続性などが担保でき、結果的に塗装回数を減らせるため、将来を見据えて検討すると良いでしょう。
具体的な坪数ごとの塗装面積と費用相場を表に示します。あくまで面積による相場のため、建物の仕様や築年数、作業工数により変動する場合があります。
表にある「坪数」は、建物の各階(例:1階+2階+3階)の床面積を合算した延坪で、「建坪(建築面積、1階部分の床面積)とは異なります。
例えば、1階の床面積が15坪で2階建てであれば30坪、1階が20坪、2階と3階は10坪であれば40坪、という計算になります。
また、外壁塗装に加え、屋根も塗り替える場合は、上記相場に20万~40万円を上乗せした金額が目安になります。一度に済ませることで、塗装作業に必要な足場の設置や材料の運搬にかかる費用の節約が可能です。
外壁塗装の費用に含まれる内訳
外壁塗装の費用内訳は、材料代や塗装作業にかかる人件費以外にも、足場代や業者の交通費などが含まれます。
◇材料費
塗装に必要な材料は、塗料、飛散防止ネットや養生シート、壁の隙間を充填するシーリング材などがあり、費用全体の2割程度を占めます。
◇人件費
費用の1/3は人件費です。工事項目の内容や職人の経験年数によって金額が変わりますが、最も高い割合を占めます。
「飛散防止ネット」「高圧洗浄」「養生」「施工費」は、基本的に工事項目へ入り、塗装面積1㎡単位で加算されます。オプションで、軒天や破風板、雨戸、シーリングの打ち替えや増し打ちなどを付帯する場合は、追加料金が必要です。
◇足場代
塗装作業のためには、住宅周囲に足場を組む必要があります。足場の費用は、足場架面積がわかれば算出可能です。
ー計算方法ー
[外壁面積]×1.3倍=足場架面積
[1㎡あたりの足場代単価+1㎡あたりの飛散防止ネット]×[足場架面積]=足場費用
飛散防止ネットは、1m²あたり100〜200円が目安になります。
なお、足場の組み立ては国家資格を持つ専任担当者が実施します。足場代無料という業者は、他の費用に上乗せして見積もっている可能性があるため注意しましょう。
◇運営費
直接塗装作業にかかる費用以外にも、業者の移動にかかる交通費や、手続きにかかる手数料など間接的な費用があることも忘れないようにしましょう。業者の利益も運営費に含まれており、費用全体の約3割を占めます。
外壁塗装の費用を安く抑えるコツ
リフォーム助成金・補助金を利用する
外壁塗装には高額な費用がかかりますが、地域によって補助金や助成金などの支給を受けることが可能です。
支給を受ける条件は各自治体によってさまざまですが、下記のような基本的な共通条件があります。
・申請地域に居住もしくは転居する
・リフォームする住宅の所有者もしくは居住者である
・税金の滞納がない
・過去に同様の助成を受けていない
さらに「親や子世帯と新たに同居するため」や「リフォーム後、10年以上定住の意思がある」など、細かな内容や支給条件は各自治体によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
◆補助金と助成金の違いとは
補助金と助成金は、どちらも公的機関から支給され、返済が不要です。
補助金は支給を受けるための件数や金額があらかじめ決まっていることが多く、審査が比較的厳しいもので、必ずしも支給されるとは限りません。
対して助成金は要件が緩く、決まった要件を満たせば支給を受けることができます。
ただし支給条件が低いため、補助金に比べて金額が低いことがほとんどです。
◆外壁塗装の平均相場
住宅として平均的な広さの30坪を目安にすると、外壁塗装は60万円~100万円ほどが相場になります。
屋根も同時に塗装する場合は、80万円~125万円ほどになります。
費用は塗装の種類によって異なり、よく使われる「シリコン塗装」よりも「遮熱/断熱塗料」は割高です。
支給対象になりやすいもの、安く済むものなど、塗料の種類によってさまざまあるため、塗装業者に相談すると良いでしょう。
塗装業者も多いため、複数の業者に相見積もりを取ってみるのもおすすめです。
◆申請から受け取りまでの流れ
補助金や助成金を受け取るまでの流れを見ていきましょう。
1.自治体の補助金・助成金制度をチェック
各自治体の補助金・助成金制度は、「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」から確認することができます。
http://www.j-reform.com/reform-support/
まずはリフォームを検討している自治体に制度があるかどうか、条件などをチェックしておきましょう。
2.工事の前に申請する
受給できる制度があった場合、工事前に申請します。
申請に必要な書類として、申請書や工事費用の見積書、施工内容がわかる図面や写真などが必要になります。
工事後に申請しても受給できないため、事前に塗装業者などに確認して書類をそろえておきましょう。
3.工事スタート~報告書の提出
申請書を提出したら、工事がスタートします。
工事中でも工事の範囲や使用する塗料に変更があった場合は、変更内容を届ける必要があります。
工事が終われば、施工前と施工後の写真を添えた「工事完了報告書(実績報告書)」と「請求書」の提出が必要になります。
4.補助金を受け取る
工事の報告が無事に終わり、問題がなければ、調査の1~2ヶ月後に補助金・助成金が振り込まれます。
助成制度に詳しい業者を選べば、申請のサポートをしてくれる場合もあります。
こうした補助金をうまく活用できれば、費用を安く抑えることができます。
火災保険の利用
火災による被害や自然災害による破損の補修で外壁塗装を行う場合、火災保険適用がされる場合があります。
◆火災保険で外壁塗装ができる
外壁塗装に火災保険が適用される事例は「規定の自然災害による破損の補修」です。
例えば台風で飛来物が外壁に当たってひび割れができた、といった場合に火災保険の対象となる場合があります。
適用されるには、自然災害による被害、被害から3年以内である、損害額が20万円以上であるといった条件があります。
外壁だけでなく屋根や軒樋などの破損にも保険金を請求できるケースは多いです。
ただし、地震には適用していないのが注意点です。
火災保険が適用されない事例もあります。
経年劣化、業者による施工不良、故意による破損や費用が面積金額を下回っているといった場合は、適用されないことがあります。
一般的な火災保険の種類は、「住宅火災保険」、「住宅総合保険」、「補償範囲の広い新タイプの保険」などがあり、それぞれ保険料や補償金額は異なります。
適用されるかどうか、保険の種類などは保険会社に確認しておくようにしましょう。
◆外壁塗装に使う火災保険の申請手順
保険の申請を行うには、保険の適用範囲かどうかを確認する必要があります。
自宅に保管してある火災保険の契約書から確認できますが、わからない場合は保険会社に直接聞いてみましょう。
次に外壁塗装業者を探して損害状況の調査を依頼し、保険の審査に必要な工事の見積書を作成してもらいます。
他にも審査には、請求書、事故の報告書が必要になるため、それぞれ準備をしておきます。
特に損害箇所の写真の提出を求められることがあるため、撮影を忘れないようにしてください。
こうした書類作成を代行してくれる業者もあります。
見積書を依頼する際に、代行に関しても確認しておくことをおすすめします。
書類の提出が終われば、保険会社による現地調査が実施されます。
調査結果を精査し、保険会社が保険適用範囲と認められれば保険金が支払われます。
申請手続きをしてから30日以内に支払われるのが一般的ですが、業者への支払いと前後する場合もあります。
業者への支払いが先だった場合は、自分で建て替えたり、支払いを待ってもらったり、対応を考えなければいけません。
火災保険の申請は、補助金や助成金と違って施工完了後でも可能です。
劣化がすすむ前に依頼する
外壁塗装は外壁を守るために必要です。
定期的に塗装をすることで劣化を防いでくれますが、塗装の効果が切れた外壁は雨水や紫外線といった影響をまともに受けてしまいます。
そのままの状態で放置しておくと劣化がすすんでしまいます。
外壁塗装の劣化は、ひどくなってから依頼すると状況によっては費用が大幅に上がってしまう場合があります。
一般的には築5年ほど経つと、劣化の初期症状が表れ始めます。
最初は色あせやちょっとした汚れがついている程度の劣化で、見た目が気になる方もいるかもしれませんが塗装しなくても大丈夫です。
10年ほど経つとチョーキングやクラックといった現象が起こる場合があります。
ここまで劣化がすすむと、塗装の必要があります。
さらに放置しておくと、外壁がはがれたり、雨漏りや下地の腐食まで劣化がすすんでしまいます。
こうなると塗装だけで対処することができなくなり、下地の修復や外壁の張り替えが必要になり、30坪でも120万円ほど費用がかかってしまいます。
外壁塗装であれば、30坪で60万円ほどから選ぶことができるため、外壁の劣化に気づいた際は長期間の放置は避け、劣化がひどくならないうちに依頼することをおすすめします。
外壁塗装工事の具体的なタイミング
次に外壁塗装のタイミングについて、見ていきましょう。
まず劣化の初期症状として、色あせやツヤがなくなったり、汚れやカビがつきやすくなったりします。
もとの色と変わってきた、と感じたら劣化がすすんでいると考えてチェックしておきましょう。
汚れやカビが付きやすい状態は、塗装効果が弱っているものの、水洗いや洗剤を使って洗えば大丈夫です。
ただし、さらに劣化がすすんで、以下のような症状が出れば塗装が必要です。
◆チョーキング
外壁に触って手に白い粉がつくチョーキングが起こると、塗装の効果が切れている証拠です。
目安としては築10年ほどで起こると言われており、こうなると外壁の劣化がどんどんすすんでしまいます。
◆クラック
チョーキングを放置しておくと、次に壁にクラックが見られるようになります。
クラックとはひび割れのことで、0.3mm以上になると雨水などが侵入して下地材の腐食につながるため、できるだけ早く塗装工事することをおすすめします。
◆外壁のはがれ
外壁がはがれてくると、塗装だけで対処することは難しい状態です。
はがれている部分の補修や張り替えをした後に塗装する必要があります。
上記のような症状があった場合は、なるべく早く塗装や補修の必要があるため、業者に連絡して確認してもらいましょう。
梅雨や冬の時期に施工する
外壁塗装は基本的にどの季節に行っても問題はありません。
ただし気温が5℃未満、相対湿度が85%以上の環境は塗装に向いていないと言われています。
外壁塗装は一度塗った後に乾燥させる時間が必要になるため、天候に左右されやすい梅雨の時期や、寒い冬の季節は適しているとは言えません。
どうしても塗装工事の繁忙期は春や秋に集中しますが、逆に繁忙期を避けて梅雨や冬に施工すると費用を安く抑えられる傾向があります。
繁忙期でないため塗装業者を見つけやすく、スケジュールも余裕を持って計画することができるでしょう。
雨が降ったり、塗装の乾きに時間がかかったりするデメリットはあるものの、急いでいなければ梅雨や冬に施工することを検討してみるのもおすすめです。
複数の業者を比較する
塗装業者はさまざまですが、どの業者にすればいいのか悩む人も多いのではないでしょうか。
前述した補助金の利用ができるかどうか、火災保険適用かどうかによって、業者によっては金額が異なります。
迷った場合は、複数の業者に見積もりを依頼して、比較してみることをおすすめします。
外壁の状況や使用している材質、地域によっても金額が異なるため、少なくても3社に依頼し、見積もりから平均価格を比較することで費用を抑えることができます。
長い目で見て「良い塗装」をした方がトータルコストは抑えられる
塗装に使用する塗料は種類が豊富で価格もさまざまですが、費用が高いものは相対的に耐久年数が長くなっています。築年数やメンテナンス周期、販売を見据えている場合は資産としての家屋価値などを考慮して決めると良いでしょう。
外壁塗料の選び方
外壁塗装に使われる、主な塗料について紹介します。
①アクリル
アクリル樹脂が主成分のアクリル塗料は、安価で手軽に使用できるため、DIYでもよく用いられます。はっきりした色合いやつやが特徴で、多様なカラーバリエーション展開があるため、好みに合わせて選択できます。一方で、紫外線に弱く、ひび割れの要因となる可塑剤が含まれている点や、はがれやすい性質であることから、耐久年数は5年前後と短めです。
②ウレタン
ウレタン塗料は、ウレタン系樹脂(ポリウレタン)をメインとし、密着度が高く柔軟性も高いため、長持ちしやすい特徴があります。アクリルに次ぎ安価でありながら、耐久年数が10年弱とアクリルに比べ長いため重宝されています。外壁以外にも雨樋や軒部分など、職人が長年使ってきた塗料のため、経験豊富な業者が多く安心して依頼しやすいでしょう。
③シリコン
シリコン塗料はシリコンが樹脂の主成分となっており、耐久年数と費用のバランスが良いため、最もニーズの高い塗料と言えます。光沢感のある仕上がりが可能で、汚れ、結露、カビなどを防ぐ性質も持ち合わせますが、弾性はやや低く、ひび割れしやすいことが弱点です。また、こまめにかき混ぜながら使わなくてはならない点や、重ね塗りが難しい点など、一定の技術が必要な塗料です。
④フッ素
フッ素塗料は、フッ素加工のフライパンなどが身近にあるように、強い塗膜で汚れがつきにくい特徴を持つ塗料です。蛍石を原料としたフッ素樹脂を配合してできており、光沢が落ちづらく、長期間きれいに保てます。紫外線にも強いため、外壁以外にも屋根やシャッターに重宝されているほか、ビルや航空機、スカイツリーなどにも使われています。耐用年数は10年以上と長いですが、高価のため、予算が合い、同じ住宅に長期間住む場合は適しています。
⑤無機塗料
アクリルやシリコン、フッ素などのように樹脂成分が入った塗料を有機塗料と呼び、逆に樹脂成分がほとんど含まれず、ガラスや医師など無機物が主成分となる塗料を無機塗料と呼びます。紫外線によるダメージを受けにくく、カビや苔の繁殖もしづらいメリットや、親水性が高く雨水と一緒に汚れが落ちやすいのも魅力です。
一方で、無機物の特性により非常に硬い塗膜になるため、外壁自体にヒビが入ると塗膜もヒビが入りやすく、注意が必要です。
特殊な塗料
・光触媒
光触媒塗料は、光による化学反応を促進させる光触媒の性質を活かし、太陽光を利用して表面についた汚れを分解し、周囲の空気をきれいにします。
無機塗料と同様に、親水性が高く雨水によるセルフクリーニング効果があるほか、静電気で空気中に漂うチリやホコリの吸着を防ぐため、汚れにくいというメリットがあります。雨や光があたることで性能を発揮するため、日当たりの悪い場所や雨があたりにくい場所に外壁がある場合は不向きです。
・断熱塗料
断熱塗料は、熱伝導を抑える効果があり、室内外の熱や冷気が移動しにくいため、気温に左右されにくいのが特徴です。暑い日は室内を涼しく保て、寒い日は室内の温かさを維持でき、節電効果が期待できます。また、音を反射する性質もあり、外の音が室内へ響きにくく、室内の声が外漏れしづらくなります。
ただし、住宅自体に断熱材を使用している場合は、塗料によって効果が感じられない可能性もあるでしょう。
・防水塗料
防水塗料は、その名の通り防水機能が高い塗料を指します。塗膜の伸縮性が高いため、ひび割れも防げ、外壁を強力に保護します。雨漏りやひび割れなど劣化症状が現れたり、前回の塗装から5年以上経過していたりする場合は、住宅の防水機能が低下しているため、防水塗装で保護すると良いでしょう。定期的な防水塗装は住宅を長持ちさせます。
外壁塗装の塗料代の値上げ
現在、食料品や日用品、光熱費など身の回りのものが値上がりしています。
これは外壁塗装も例外ではなく、塗料の原材料価格も高騰しています。
そのため各塗料メーカーは値上げを発表しています。
塗料費の値上げは5~30%程度で、業者に払う費用の場合、約2~5万円ほどの値上げが予想されます。
今後もしばらくは原油高やインフレ、円安の影響が続くと予想されています。
外壁の劣化は放置しておくと、さらに大規模な補修が必要になるため、もし外壁塗装を検討しているなら、なるべく早いタイミングでの施工をおすすめします。
外壁塗装費用の支払い方法
外壁塗装の支払い方法は大きく3つあります。
1. 現金
2. クレジットカード
3. ローン
1. 現金で支払う場合
現金で支払う場合、支払うタイミングや回数を選ぶことができます。
①工事完了後に一括で支払う方法
②工事前と工事完了後の2回に分けて支払う方法
③工事前・工事途中・工事完了後の3回に分けて支払う方法*
*注意が必要なのは、3回に分けて支払えるのは工事面積が広い&費用が莫大になる場合のみのため、通常の住宅の場合①②の方法で支払うことが一般的です。
2. クレジットカードで支払う場合
近年ではクレジットカードの支払いも増えてきています。クレジットカードは決済が簡単でカード会社によってはポイントが付与されるなどのメリットがあります。
ただし、一括払いの場合、人によっては一時的に限度額を上げる必要があります。
また、業者側はクレジット会社に支払額の3~5%の手数料を支払わなければならないため、カード決済を取り扱っていない業者もあり、事前に確認しておきましょう。
3. ローンで支払う場合
業者によってはリフォームローンで支払いが可能な場合があります。
外壁塗装の費用では高額な支払いが必要なケースが多いため、まとまった現金の用意が難しい場合はローンが使える業者を探してみるのもひとつの方法です。
支払い総額は現金払いより高くなりますが、住宅ローン減税などを利用してお家に関わる支払いを抑えることができる可能性もあります。
まとまった予算がなくても施工ができるため、トータルで考えて検討してみると良いでしょう。
外壁塗装の見積書でチェックすべきポイント
費用の妥当性や工事内容が想定通りとなっているかを事前に把握するために、見積書を必ず確認しましょう。チェックすべき5つのポイントを押さえておくと、初めてでも安心です。
①費用項目が細かく記載されているか
業者により費用項目の書き方が異なるため、細かく分けて記載されているかや漏れが無いかをチェックします。項目に専門的な表現が使われ、何を指しているのかわからないものについては、問い合わせて明確化させると良いでしょう。
塗装手法は、ローラーで塗る「ペンキ」以外にも、漆喰や土などを使い職人がコテで塗る「塗り壁」があります。独特の質感を表現でき、デザイン性が高く、リフォーム時に選択する人も多くいます。手法次第で仕上がりや費用が異なってくるため、見積り項目の着眼点として押さえておきましょう。
②塗料メーカー名&商品名が明記されているか
塗料の種類が想定したものかどうかや、商品名とメーカー名が記載されているかをチェックします。同じ種類でも、メーカーによりグレードの差があります。また、外壁以外に雨どいなど他の箇所も同時に塗装する場合は、耐用年数を揃えると、次回メンテナンスのタイミングを合わせられるため効率的です。
③塗装面積が「m²」表記になっているか
塗装面積が㎡単位で記載されていると、算出された費用の妥当性がわかります。面積の算出方法は業者によって違うため、複数業者で相見積もりを取得すると、正しいかどうかを判別しやすくなるでしょう。
④「一式」というワードには要注意
費用項目が「工事一式」など丸められている場合、含まれる作業の認識違いがあったり、費用が多く上乗せされても気付けなかったりとトラブルにつながりかねません。一通り見積書を見直し、一式というワードが無いかをチェックしましょう。
⑤「諸経費」など内容がわかりにくい項目がないか
諸経費は、さまざまな費用の最後にあるため見落としがちですが、詳細を確かめましょう。通常はゴミの廃棄にかかる料金や工事担当者の交通費、利益が上乗せされていることが多く、金額目安は工事総額の3〜15%程度です。
外壁塗装業者を選ぶ際のポイント
外壁塗装を実施後、やり直しが利かないため、業者選定時点で誤った判断をしないようにすることが大切です。特に留意すべきポイントを解説します。
大幅な値引きはありえない
「今だけキャンペーン中なので●万円値引きします」のような文句で大幅な値引きを提案してくる場合は、もともと上乗せした金額を提示しており、その分差し引くことで顧客心理を惹きつけている場合があります。そもそも外壁塗装は塗料や工事、足場設置にかかる費用など、必ずかかるため、大幅値引きができるものではありません。見積りの金額だけを見て決めず、冷静に捉えましょう。
見積もりにない追加費用がかかると言われた場合は要注意
見積りに含まれていない対応を後から追加で作業し、見積り時点の金額を上回る請求額で支払いを求める業者も存在します。工事中に新たな作業が発生しそうな時は、追加で料金がかかるか必ず問いましょう。
工事前の全額支払いはトラブルの原因になる場合もある
着工前に全額支払いを要求する業者は、選ばない方が安心です。本来、塗装が完了した段階で、満足いく仕上がりに対して支払うべきなため、全額前払いだけでなく、着工前後で数回に分けて支払う方法も避けた方がいいでしょう。利益を先に得ているため、作業がなかなか進まなかったり、連絡がつかなくなったりするケースがあります。
外壁や建物の状況を見て相談に乗ってくれる業者を選ぶ
リフォームの相談にも応じるなど親身なサービスが売りの業者や、特定塗料の実績が豊富で定評がある業者など、それぞれの売りについても情報収集すると、付加価値が感じられる業者に辿りつけるでしょう。
外壁塗装業者の実績を確認する
外壁塗装業者のホームページには、過去の施工事例が掲載されています。
この施工実績で詳しい工程や施工費用を掲載していない、文章のみでビフォーアフターの写真が少ないといった業者の場合、信頼性が低いかもしれません。
各工程の写真や施工内容、施工費用などが詳しく書かれている業者ほど信頼できる可能性が高いと言えます。
合わせて「お客様の声」もチェックして、実際に施工していることを確認すると良いでしょう。
複数の業者に見積もり依頼をするのがベスト
業者が悪質かどうかを見極めたり、金額の相場を知るためにも、相見積もりがおすすめです。3~5社程度の結果を収集し、選ぶようにしましょう。複数業者に同じ条件で依頼することで、塗料の種類や費用など提案内容を比較しやすくなります。
信頼度が高い外壁塗装業者の特徴
見積書の内容が具体的で明確である
見積書に含まれる内容が、具体的に記載されているかどうかも重要です。
塗装の他にもさまざまな諸費用がかかります。
例えば足場・養生の範囲や単価、塗料の種類や塗装面積などが具体的かつ明確に記載されている場合、信頼性が高いといえます。
他社と比較して明らかに安すぎる見積書は注意が必要です。
見積書では総額に目がいってしまいがちですが、内訳の内容もしっかりチェックすることをおすすめします。
塗料メーカーから保証がつく
作業品質を信頼している外壁塗装業者には塗料メーカーから保証書が発行されます。
使用する塗料製品に瑕疵があった場合、塗料代に保証がつくため、安心できます。
ただしこれは製品への保証のみで、工事内容への保証ではありません。
実績がある
過去の実績は業者選びの際に非常に役に立ちます。実績が多いところは口コミも良く、信頼性を見極める手がかりになります。
ホームページのない業者であっても、見積もり依頼の際に過去の実績を見せてほしいとお願いすれば、施工事例の写真などを見せてもらうことは可能です。
しっかり丁寧に対応してくれる業者であれば、ホームページの有無は関係なく安心できます。
さらに実際にかかった費用なども掲載している業者の場合は信頼性が高いと言えるでしょう。
まとめ
外壁塗装は、色や質感だけでなく、長く美しさを維持したり、気候変動などから家を保護したりするなど、さまざまな役割を担います。豊富な塗料や業者があるため、目的や予算に合った選択ができるように、塗料の基礎知識や見積書の読み方など、事前に知っておくと便利です。
また周囲の友人や家族など、信頼できる人が外壁塗装を経験していれば、業者や品質について相談するのもおすすめです。費用や完成度の面で工事業者とトラブルが発生してしまわないように、慎重に進めましょう。
塗装を外部に依頼する以外にも、高圧洗浄機などで3ヶ月に1回程度セルフクリーニングを実施すると、汚れが蓄積しにくく、大切な住宅の品質を維持できます。