ヨーロッパの建材市場調査。そこで出会った商品。それは「グラベルフィックス」という、砂利敷の路面を固定、安定させる材料でした。本国はオランダ。砂利といえば日本では厄介者。それをなんと、砂利道が歩く易くなるという逆転の発想でした。しかしその商品開発には、単なる砂利が主役になるという目的だけはない、サスティナブルな思考があったのです。その開発秘話をBERA社 CEO ロブ・J・アディンク氏に聞きました。
限りある資源「水」が道路に溢れ出ている!
私がBERA社を設立したきっかけは、以前にロシア、マレーシアで空調機器の グローバルセールス/マーケティングディレクターとして働いていた時に始まります。
マレーシアは、周辺を海で囲まれていて自然も多く、水に困ったことがない国です。しかしそのマレーシアでさえ乾季には、灌漑(かんがい)に見舞われ他の国から水を輸入しなければならないことに私は大変驚きました。 また、オランダも、国土の50%が海抜0m以下の地域となる為、常に、浸水などの防止策を行い続けています。そんな水による不便さを身近で感じていながら、庭がアスファルトなどの硬い舗装で塞がれると、水が浸透しなく、道路に溢れ出ることが頻繁に起こるようになりました。
造園業界の問題解決に取り組むエキスパート企業になるという誓い。
それは、一部の造園業者も思っていることでした。わたしは、造園の専門家と何度も何度も話し合い、”建築家や請負業者を支援し、造園業界の問題解決に取り組むエキスパートになることで、これから地球にとって大切になる「水」つまり「雨水」を守るためのエキスパートになることを決心したのです。わたしは、エクステリアに関してはあまり多くありませんでしたが、多くの仲間が、共感してくれ、わたしに力を貸してくれました。
地球に水をもどすには。これに応える答え探しから開発が始まった。
アスファルトと対比したのは「砂利」でした。太陽の照り返しが少なく、ヒートアイランドの防止にもなります。でも、踏み固めたときの固さは、弱い。そこで、その砂利を固定して安定する形状を徹底的考え、さらに、造園の専門家と話を進めていくうちに、不織布を利用すると雨水が地面に浸透するのを邪魔しないし、効率的と気づきます。そして、その形状をかたちづくるものとして高品質なポリプロピレンを選び、再生可能な原料にこだわりました。持続可能な原料を使用することで、完全循環型の製品を実現させたかったからです。
「Cradle-to-Cradle認定」の獲得
こうして、わたしたちのストイックなまでのこだわりは、「地球に水を貯えることができる手助けをするグラベルフィックス」ということで、数多くの建築家や、建物オーナーに認められ評価されている「Cradle-to-Cradle認定」を受けることとなったのです。これは、日本語に訳すと「ゆりかごからゆりかごまで」という意味。
これまでのモノづくりは、資源から製品を作り出しては必ず「ゴミ」となっていた。 (ゆりかごから墓場まで) そうではなく、原材料から作られたモノを再び原材料に戻そう(ゆりかごからゆりかごまで)という 新しいモノづくりの考え方の元、厳しい評価基準をクリアして、 グラベルフィックスはシルバー認定を取得するまでのサスティナブル建材として、世界中に愛されています。